就活生が考える「つまらない会社」と「魅力的な会社」の決定的な違い
● 「テレアポと飛び込み営業」への就活生の目線 時流といっても、採用マーケットの時流のことではない。そうではなくて、「自社の事業が時流に乗っているかどうか」を知るべきだと、私は思う。もしも、自社が就活生にまったく人気がないとしたら、その理由としっかりと向き合うべきなのだ。 たとえば、不動産会社などで多く見られることだが、営業の仕事の内容が「テレアポと飛び込み営業」だけという会社が、いまだに存在する。 業務のイノベーションをまったくせずに「人が採れない」と泣きごとを言っている会社が多いのだが、採れないのは当たり前だ。せっかく大学まで卒業したのに、就職したら「テレアポと飛び込み営業」をやるのだと言われて、その会社に入りたいと思う就活生はおそらく存在しないだろう。 経営者は「人が採れない」という現実に直面したら、自社の事業が時流に照らしてどのような姿形をしているのかを直視した方がいい。その姿が時代遅れでみすぼらしいものだったら、採用を考えるより先に事業の改革を考えるべきだろう。 たとえば、弊社のクライアントのひとつに、事業の一環として商品のセールスプロモーションを手掛けている会社がある。この会社は変わっていて、なぜかドラッグストアの経営もしているのだ。 私は不思議に思って、経営者になぜ畑違いのドラッグストアの経営までやっているのかと、質問したことがある。すると、「実際に店舗を構えてそこでプロモーションを打ち、顧客の様子をつぶさに観察してみないと、良いサービスは生み出せないからだ」という答えが返ってきて、驚いた。 その経営者は、自社が展開する販促施策のモニタリングをするために、自らドラッグストアを経営していたのである。そこまでして、自社のサービスを客観的に評価しようとしていたわけだ。 テレアポや飛び込みが営業のすべてであると思い込んで、そうしたストレスのかかる前近代的な営業活動を社員に強いている経営者は、それだけで経営者失格であり、そんな会社がいい人材を採用できるはずがない。 採用を考える前に、己の姿を客観的に知る努力をするべきだろう。
関野吉記