再資源化率は業界最高水準の99%!火力発電所跡が資源循環の拠点に 国内初の取り組み「サーキュラーパーク九州」に潜入
40年以上にわたって電気を作り続け、2022年に廃止された九州電力川内火力発電所。2024年4月、この発電所跡を活用してリサイクルや再資源化研究の拠点とする国内初の取り組みがスタートした。再資源化率は実に国内最高水準の99%を誇るという。 【画像】石炭に代わる燃料「RPF」
発電所から資源循環の拠点へ
鹿児島・薩摩川内市にある「サーキュラーパーク九州」は、九州電力川内火力発電所があった32ヘクタールの土地を活用し、九州電力と関東のリサイクル事業者らが主体となって2024年4月にスタートした。 サーキュラーには“循環”という意味がある。2030年度の完全操業を目標に、廃棄物をリサイクルしたり、資源を循環させる研究拠点を目指している。 工場では、現在、契約を結んだ鹿児島県内の企業十数社からの産業廃棄物を受け入れており、この日は警備会社から廃棄物が運び込まれていた。
廃棄物の99%をリサイクル
一口に廃棄物といっても、その中身は様々だ。金属やプラスチックを分類し、資源として取引ができるように、人の手で丁寧に分別が行われている。 サーキュラーパーク九州によると、廃棄物の搬入段階では、まだ金属やプラスチックの分別が行われていないことが多く、今後は利用企業と相談をしながら、より資源化に結びつく形を目指していくという。 サーキュラーパーク九州の春木優CEOは「細かい作業をしていかないと十分な素材回収ができないため、私たちは地道な作業をしっかりやった上で事業につなげていきたい」と、人の手による作業の重要性を強調する。 一方、廃棄物の中には素材としては再利用できないプラスチックや木くずもあり、それらを活用するために専用プラントが使われている。出来上がったのは「RPF」と呼ばれる固形燃料だ。RPFは、石炭に代わる燃料として県外の製紙工場に出荷されている。 こうした技術を活用して、サーキュラーパーク九州が実現させた再資源化率は実に99%と、業界最高水準を誇る。 九州電力とタッグを組み、80年間培ってきたノウハウを駆使しているリサイクル事業者・ナカダイホールディングスの中台澄之代表取締役は「日本の資源循環のビジネスや、リサイクル業界の新しい流れを作りたい」と今後の抱負を語る。