教師から性暴力、34年後の勝訴 「重い扉」開けた男性の願い
今回の記事を出すにあたり、これまで同様に実名を伏せるか話し合った。ただ、栗栖さん自身が強く実名を望んだ。その理由を、4年半前とは別人のように晴れやかな顔でこう語った。 「被害者は必ずしも名乗り出る義務はないし、発言するにしても名前や顔を出すべきだとは思いません。ただ私個人としては、中学生の時から『証拠はあるのか』とか『ないなら謝れ』とか言われ続けてきて、ようやく人生の一番重い扉を開けることができた。もう卑屈な思いをして生きていきたくはないんです。私は人生を破壊されて夢も希望も抱けずにいましたが、今、同じような思いをしている人はたくさんいるはずです。そういう人たちに、栗栖英俊という人間を通して、人生そんなに悪いものじゃないよと伝えられればと願っています」
-------- 秋山千佳(あきやま・ちか) ジャーナリスト、九州女子短期大学特別客員教授。1980年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。記者として大津、広島の両総局を経て、大阪社会部、東京社会部で事件や教育などを担当。2013年に退社し、フリーのジャーナリストに。著書に『ルポ 保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル』『実像 広島の「ばっちゃん」中本忠子の真実』『東大女子という生き方』など。 本記事は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」、「#性のギモン」の一つです。人間関係やからだの悩みなど、さまざまな視点から「性」について、そして性教育について取り上げます。子どもから大人まで関わる性のこと、一緒に考えてみませんか。