與真司郎さん、カミングアウトのその先へ「最近、一人でいることが怖くなくなったんですよ」
他人と自分を比べる癖が抜けなかった20代
――セクシュアリティにまつわる課題はたくさんありますが、ようやく日本でも少しずつ変化の芽が生まれはじめています。そうした変化が、“当たり前のこと”として社会に根付いていくには、どんな視点や意識がカギになると思いますか? 與さん: 「(LGBTQ+の人は)まわりにいない」ってよく言われるんですけど、絶対にいるんですよね。ただ言えていないだけで、絶対にいる。LAに住んでいると、知り合いや友達、家族や同僚など、LGBTQ+の人と関わったことがない人はほぼいないんじゃないかな。それぐらい身近にいることが普通だから、逆に特別扱いもされないし、「だから何?」くらいの感覚で、それが心地よいというか。 ストレートの方たちが「本当はまわりにいるんだ」っていう意識を持ってくれるだけでも、結構変わるんじゃないかなと思います。特に日本はセクシュアリティを言えずに生きている人が本当に多いので、そこを理解してもらえるだけでも救われる部分があると思いますね。 ――今、苦しみや悩みを抱えている方たちにとって、與さんのあり方はひとつの希望だと思います。 與さん: 僕がそうだったように、どうしても「自分が悪い」って思っちゃうんですよね。だからこそ、当事者の人には「あなたは何も悪くないし、自信を持っていい」ってすごく伝えたい。 今はSNSもあるから、どうしても誰かと自分を比べちゃいますよね。僕もグループの中にいたから、まわりの人と比べる癖がなかなか取れませんでした。とらわれなくなったのは、本当にここ最近かな。今は“普通”って何?って思うし、「他の人と違うから超ラッキー」ぐらいの感覚です。 ――そう思えるようになったのは何かきっかけが? それとも徐々に変化しましたか? 與さん: やっぱりカミングアウトしたことと、その前後に自分と向き合ったことが大きいかな。「自分は自分。誰かと比べることなんてできない」って思えるようになりました。でも、渦中にいるときってなかなか気づけないんですよね。