衝撃の25球…ロッテ佐々木朗希のフリー打撃初登板の何がどう凄かったのか。打者が「怖い」と感じた3つのスペシャル
ロッテのドラフト1位の佐々木朗希(18)が24日、千葉のZOZOマリンでプロ入り後、初のフリー打撃に登板した。ドラフト5位の福田光輝(22)、5年目の茶谷健太(22)の2人を相手に25球を投げ、本塁打を含むヒット性のあたりは5本のみ。8球をファウルさせ最速157キロを3球マークする衝撃の25球。”生朗希”を体験した福田は「今まで見たことがないくらい速くてボールが小さく見えた」。27日には変化球を交え2度目のフリー打撃登板をする予定だが、佐々木の何がどう凄かったのか。
投球練習で158キロ
ZOZOマリンのマウンドに上がった佐々木は、プロ入り初のフリー打撃がスタートする前から激震を起こしていた。気をきかせた球場側が、バックネットサイドのスピードガンだけを作動させていたのだが、ウォーミングアップの投球練習で158キロをマークしたのだ。しかも、2球。佐々木との対戦に指名されたドラフト5位のルーキー、福田光は、ゲージの後ろで、その表示と球筋を見ていて「バットに当たるかな。怖いな。当てられたら嫌だなあ」と、不安、恐怖に包まれたという。 「1、2球見て、自分自身、引っ張れるイメージがなかった。打てるならセンターから逆方向。気合の入った顔をしていたので負けないように向かっていこうと思ったのですが…」 一人に5球、5交代で、約5分間、すべてストレートで設定された初のフリー打撃。セットで左足を高くあげる独特のフォームから福田に投じた初球はファウル、157キロが表示された。 福田は、「左手で押し込んでいかないとゲージ内のファウルになる」と修正を余儀なくされたという。2球目はスッポ抜けの大暴投。だが、155キロ、154キロ、150キロと150キロ台を連発。4球目、5球目と、福田にセンターへ抜けるヒット性の当たりを打たれたが、続く育成出身のプロ5年目の茶谷は、まるっきり前にボールが飛ばなかった。 無観客だったが、グラウンドにいる全員の目を釘付けにした。 感情の起伏を見せることの少ない佐々木の闘争心に火をつけたのが、福田の5度目の打席である。149キロ表示のやや外角高めの22球目。逆方向に痛打されレフトのテラス席まで運ばれてしまったのである。 「たまたま当たっただけ」と福田は謙遜するが、その”プロ初被弾”を浴びた佐々木は、「いい気持ちではなかったですけど、今日はバッティングピッチャーだったので。変化球が入り配球が違うとまた違うと思う。速い真っすぐでも打たれている。そういった工夫もしていきたいなと思いました」と振り返った。負けず嫌いの一面が垣間見えた。 その次のボールは153キロの内角球だった。この日、唯一、内側をえぐったボールだった。上手い二塁手だと止めているような詰まったゴロ。故・野村克也氏が、「投手族の性格」と評したメンタルの強さが、佐々木に備わっているのがよくわかった。 「ストレートで押し込めたのでは?」と聞かれ、「はい、たぶん。前に飛ばされたとかもしたのでコントロールも修正していきたい」と答えた。 ヒット性の打球は5本。うち長打は本塁打を含め3本あった。それが佐々木には我慢ならないのだ。 一軍レベルのプロは「狙っているボールは打てる」が基本である。ストレートオンリーのフリー打撃では、打たれる方が、当たり前だが、佐々木の目指す世界は、もっと上にある。大谷翔平やダルビッシュ有らが駆使する「狙っていても打ち損じするボール」である。