衝撃の25球…ロッテ佐々木朗希のフリー打撃初登板の何がどう凄かったのか。打者が「怖い」と感じた3つのスペシャル
この日の気温は10度と肌寒く、風速10メートルの”マリン風”が吹いていた。足を高くあげるスタイルの佐々木のバランスに影響を与えるほどの強風だったが、「普通に吹きあがったりする風がありましたが、(フォームバランスへの)影響はないと思います。球場の特徴をつかみながら、それを有効的に使っていきたい」と平然としていた。 初のフリー打撃を終えメディアの取材に応じた佐々木は、素直な感想を口にした。 「初めてバッターを相手に投げてボールが多かったですが、ストライクゾーンに入りましたし、風とか、この球場の特徴を感じながら投げることができました。楽しかったです。最初にしては、しっかりと投げられました。悪くはなかったと思いますが、よくないところもあったので、改善していきたい」 登板直後には、吉井投手コーチに「全然だめです」と漏らすなど不満足そうだったという。 佐々木の何が凄かったのか。 そこには並みのルーキーとは違う3つのスペシャルがあった。 ひとつ目は、最速158キロ、157キロという数字ではなく、スピードガン表示のあった20球のうち13球が150キロ以上をマーク、平均で150.75キロあったスピードの安定性だ。 そして福田が体感した、そのスピードの質。 「高めのボールは今まで見たことがないくらいに速くてボールが小さく見えた。あれだけ強いボールを投げるピッチャーとは、これまで対戦したことがない。速い、速いと聞いていたが、ほんまにいいボールがきているなあと実感した。ボールの回転が綺麗なので速く見える。球質はズドンときている印象、イメージ、感覚なんですが、ボールの回転が綺麗で、ベース板の上で伸びるようなイメージ」 25球中、ファウルが8球。ベース板の上、すなわち初速と終速に差がなく手元でボールが伸びている証拠である。 ふたつ目は、吉井投手コーチが「見ていて楽しかった。球の速さもそうだけど、注目されている中で、初めてバッターを相手に投げて、ほとんどがストライク。そこが凄い」と絶賛したコントロール。 吉井投手コーチは「僕と比べると、同じ頃、ストライクが入らなかった」と笑う。 佐々木も、このマウンドのテーマを「バッターに投げることが初めてなので細かいテーマを持たずに、しっかりとストライクを投げる、自分の思うような球を投げる」としていた。 明らかに指にボールがかからない抜け球は、25球中、3球だけだった。コントロールこそピッチャーに必要な天性のセンスと言われている。何球か意識的にコントロール主体にスピードを加減していたボールもあったが、そんな器用さも佐々木の長所だろう。 3つ目は、その手足の長さとダイナミックなフォームが出す威圧感だ。これも福田の証言がリアルだ。 「ボールに角度があった。身長もでかい。手足が長いぶん、バッターとの距離が近くに感じた。圧倒される感じがあった。バッターは受け身だが、ダイナミックな大きなフォームで投げてくることで圧倒される。受け身がさらに受け身になる」 阪神の藤浪晋太郎や、大谷翔平のような長身の投手が持つメリットである。バッターからすれば、リリースポイントが前に感じられ、タイミングが取りづらい。しかも、佐々木は、左肩が開かないので、なおさら腕が見え辛くリリースポイントを前に感じる。