男性専用車両は必要?不要? SNSで巻き起こる「男女平等vs安全重視」という対決構造、大阪イベント中止で考える
筆者の意見
筆者(才田怜、ジェンダー研究家)は個人的に、男性専用車両も女性専用車両も 「正しい解決策ではない」 と考えている。女性専用車両だけがあるのは不公平に見えるかもしれないが、だからといって男性専用車両を作れば平等になるかというと、むしろ 「さらにいびつな構造になる」 気がする。しかし、どちらの専用車両がなくても安全な時代が来るまでには時間がかかる。過渡期の対策としては“あり”なのではないか。 男性専用車両について、SNSを見る限り、日本では男女ともに賛成派が多い印象を受ける。多くの男性が痴漢の冤罪(えんざい)によって、社会的な立場が“終了”することを恐れているからだ。女性側も、家族や恋人といった身近な男性が、痴漢冤罪(えんざい)になることを恐れている。男性が性被害に遭う危険を認識している女性も少なくない。 また、 「女性ばかり専用車両があってずるい」 と思われることにうんざりしているから、男性専用車両があった方がいいと考える人もいる。シンプルに「女性専用車両があるなら男性専用車両があってもいいのではないか」と書いている意見もよく目にする。 つまり、男性専用車両は、男女ともに 「メリットがある」 と考える人が多いようなのだ。
反対意見や異なる視点
男性専用車両に反対する意見もある。男女平等に対する見方からの反対意見だ。 「男女平等を目指すのではなく、単に分断するに過ぎない」 「多様性を目指す流れをさらに逆行させる」 男性利用者としての危惧もある。 「男性専用車両ができたら、一般車両に乗っていると痴漢するつもりだと思われてしまうのではないか」 「男性専用車両で男性から性被害に遭うのではないか」 また、電車の車両を乗り換えの便利さで選んでいる人が、“乗車位置が選べない”ことで一層不便になると心配する声もある。
専用車両は暫定措置
ここまで見てきて、男性専用車両、女性専用車両が増えていくことで、乗車・下車に便利な車両に乗りたいという 「選択の自由」 が制限されることを改めて不便に感じた。 男性専用車両を導入することで、よくなることもあれば、新たな問題も生まれる。 男性・女性ともに専用車両は導入するにしても、例えば 「10年先まで」 と期限を決めたらどうか。 簡単でないにせよ、それまでに ・電車の混雑を減らす(鉄道会社の利益にも影響するが) ・監視カメラを導入する ・国民の意識を変えていく といった準備期間にするのがいいと思うのだが、皆さんはどう考えるだろうか。
才田怜(ジェンダー研究家)