男性専用車両は必要?不要? SNSで巻き起こる「男女平等vs安全重視」という対決構造、大阪イベント中止で考える
男性専用車両の難しい現実
日本弱者男性センターによれば、東京ではなく大阪で企画を進めていた結果、9月に阪堺電車(阪堺電気軌道。大阪市内と堺市内で2路線の路面電車を運行している)にイベントの趣旨などを説明した上で予約していたが、10月に貸し出しができないといわれた。 話し合いの結果、制約付きでの貸し出しが可能とされたが、11月に入ってやはり貸し出すことができないといわれたという。その理由は、 「男性専用車両を推奨している会社だと思われたくない」(産経新聞) 「総合判断の結果という以上のことは申し上げられない」(J-CASTニュース) と記載されている。阪堺電車は、基本として1両34名程度まで 「6万円(税込み)」 で貸し切り可能だ。ウェブサイトには、パーティー含め 「使い方はアイデア次第のフリースペースです」 とある一方で、「ご利用目的・内容によってはご利用をお断りさせていただく場合がございます」とも書かれている。 男性専用車両イベントは、 「男性にも女性が苦手な方や痴漢(痴女)や性犯罪の被害又は冤罪によって辛い人生を歩まれている方おります。そういった方々の為に1日も早く男性専用車両が一般的に設立されるよう」(同センターウェブサイト) アピールするものだ。
女性専用車両の存在理由
痴漢対策として女性専用車両は国の主導で進められている。2023年3月の男女共同参画局『痴漢撲滅に向けた政策パッケージ』には 「性別・年齢に関係なく被害者となり得ることにも留意が必要」 とあるが、2024年4月に行われた実行連絡会議(第2回)の資料にも、男性専用車両について言及されていない。 女性専用車両は、関西では2002(平成14)年以降、関東では2005年以降、導入が開始され、令和のいまも続いている。 ことの発端は、国土交通省が「女性の社会進出を支える環境づくり」の一環として 「女性の視点から見た交通サービス」 の検討を進めるなかで、2002年にアンケート調査を行い、女性専用車両の導入に対するニーズが高いことが判明したことに起因する。同省によると、2023年3月末時点で32事業者91路線で導入と報告しており、 「女性専用車両の導入・定着に向け、導入状況の関係機関への情報提供など、引き続き実施する」 予定である。 女性専用車両の導入で、鉄道事業者も乗客も一番気にするのは、 「乗車人数の偏り」 である。女性専用車両が空いているのに一般車両が混んでいると“女性優遇”になってしまう。そのため鉄道事業者は、そうならないよう状況を見ながら導入している。