藤原しおりがブルゾンちえみ時代に感じた責任とプレッシャー、異例のブレイクの最中で見えていた景色とは
いつ売れても準備不足だと感じたと思う
ー急激に売れるっていう非凡な経験をしたからこそ、人生を凝縮して体感されているから、急速に達観する部分もあるのかもしれませんね。 藤原:そう思うようにしました。早く売れるのはキャンプファイヤー、じわじわ売れるのは、1人キャンプの焚き火に例えられると思います。やっぱりキャンプファイヤーはすごく楽しいし、お祭り騒ぎだけど、その分めちゃくちゃ薪を用意して、くべなきゃいけない。じわじわ燃える焚火は、ゆっくりマイペースに楽しさを味わえる。どっちがいいとかではないと思うんです。 早く売れすぎたから、いろいろ用意が足りなかったというか、全然下積み的なものもせずに売れちゃったなと私も実際考えたことはあります。でも、じゃあいつだったらよかったのって言われても、いつだって準備不足って感じるだろうなとも思ったりするんです。早く売れるってことはきっとそれだけ人が求めてたり、人気になる何かがあるから、もうそのエネルギーを存分に味わっていけばいいかなと今は思いますね。そうじゃないと味わえないことがきっとあったんでしょうね。
自分の手から離れていく感覚
ーまさに売れてる最中のとき、どういうことを感じられていましたか。 藤原:もう自分だけの話じゃないって感じですね。ブルゾンちえみのネタに関しては、全部自分たちでやってきたことだったんですけど、出た後のことっていうのは、いつのまにか舵を切る運転席から、助手席、または後部座席ぐらいに移動した感覚はありました。 ー自分のものなんだけど、自分の手を離れていくという感じなんですね。 藤原:でも、一応私の車だから、何か事故があったら責任は私になるという緊張感はあるんです。運命共同体ではあるけれど、まず一番に刺されるのは私だから、その緊張感と、やっぱり見てくれる人の数が多い分、何かをしようというよりは、悪いことをしないようにしようっていう矢印の方向になっていたのかもしれません。
撮影/杉本大希 取材・文/ヒオカ
藤原 しおり