戦術マニア必見?チャンピオンズリーグで“一番面白い”チームはどこなのか…『as』副編集長が選ぶトップ5
希望の火が灯った名門
また、ラ・リーガではやや勢いを落としているものの、バルセロナが復活を果たしたのは疑いようのない事実である。今季からハンジ・フリックが手綱を握るチームはこれまでとは別物だ。 ここ最近は疲労の蓄積もあって戦術的秩序を少し失っていたが、それでもCLでの戦いぶりは過去の栄光を思い起こさせるほど素晴らしい。先のドルトムント戦(3-2)はそれを象徴するような試合だった。今季のバルセロナの陣容は近年で最も充実しており、そこにフリックの戦術が加わって、サポーターの心を満たすチームができ上がった。 彼らはDFラインをハーフウェーライン付近まで押し上げて、相手チームを窒息させるようなプレッシングを仕掛ける戦術を採用した。このあまりに大胆な姿勢は、プレッシングが連動しないときやDFが一人だけ残ってしまったときに相手の独走を許してしまうリスクを孕んではいる。が、その勇気ある戦い方は絶対的に称賛されるべきだ。 チームの攻撃を牽引する17歳ラミン・ヤマルは、若い頃のリオネル・メッシと同じかそれ以上に可能性の限界が見えない。加えて、ペドリはその才能を輝かせ続けるためのエネルギーを取り戻し、ハフィーニャは均衡を破るプレーをコンスタントに見せ続けてこれまでの批判を跳ね返し、レヴァンドフスキはその黄金の得点感覚を取り戻した。今季はまだ、ビッグイヤーに手が届かないかもしれないが、しかしカタルーニャのクラブには再び希望の火が灯っている。
限られたリソースしか持たないものの…
そして、スモールクラブに対しても敬意を払う新フォーマットのCLで、特筆すべき存在感を放っているのがフランスのスタッド・ブレストだ。一見すれば何でもないチームのように見えるが、じつのところ秩序、戦う姿勢、強い個性のすべてが揃っており、だからこそ上位につけている。 彼らの最たる特徴は、デュエルで見せる激しいプレーであり、全員が決してあきらめることなく戦っている。中盤の核であるピエール・リース=メルーが欠場しても、彼らの規律と闘志にあふれたプレースタイルは揺るがなかった。 欧州スーパーリーグ構想のように、「富裕層のフットボール」と「貧困層のフットボール」を棲み分けさせようとする連中は存在する。だが、ブレストは限られたリソースしか持たないにもかかわらず、そうした主張を見事に打ち破っている。そう、フットボールはありとあらゆるチーム、ありとあらゆる人々のものであり、どんなスタイルも尊重されるべきなのだ。新フォーマットとなったCLはその理想に基づきながら、正しい方向に進んでいる。