“変態な店”と呼ばれるご当地スーパーが熱い!個性派社長が独自の経営スタイルで切り開く…新たな可能性【鹿児島発】
20種類の刺身が並ぶ鮮魚コーナー
「フレッシュ☆くまだ」の最大の魅力は、充実した鮮魚コーナーにある。山間部にありながら、約20種類もの刺身が毎日並ぶという品ぞろえは圧巻だ。 ホッケやキンキ、ニシンの刺身など、鹿児島県内のスーパーではめったに見かけない魚も並ぶ。値札には刺身への自信をのぞかせる「これはうまい」といった、メッセージもちらほら。巻き寿司(ずし)はネギトロをたくさん入れすぎて、「ネギトロだらけ巻き寿司」というネーミングに!? 来店客からは、「さつま町は海がないから新鮮な魚が手に入りにくいが、ここはおいしいお魚が手に入る」と、内陸部という土地柄からも好評だ。鮮魚コーナー担当の脇真一さん(62)は、「(社長が)変な物ばっかりもってくる」と苦笑いするが、こんなことが気軽に話せるのも、社長との信頼関係の表れだ。 熊田社長は、「市場にいる魚は全部売れるようにしろ」という師匠(近所のお店の鮮魚主任)の教えを守り、磨いた技を生かした売り場づくりに励んでいる。 中でも人気なのが、こだわりの“しめさば”。午前中でなくなることも多いという。
社長自ら市場へ こだわりの仕入れ
この充実ぶりの秘密は、熊田さん自身の仕入れにある。毎朝、鹿児島市や阿久根市の魚類市場まで1時間かけて足を運び、自ら品定めをしているのだ。市場に並んだ商品を購入した後、熊田社長はさらに、ある仲卸店へ。 「菜奈ちゃんおはよう」熊田社長が声をかけたのは、福山水産・勇元菜奈さん(31)。菜奈さんが手にしているのは、北海道の“蝦夷アワビ”だ。 「自家引き(個人で取り引き)しています」という菜奈さんの原動力は、食べることが好きなこと。熊田さんは、菜奈さんからから直接仕入れることで、他店にはない品ぞろえを実現している。 菜奈さんのところで魚を仕入れる理由を聞くと、「今からの未来がある人たちじゃん。21世紀のこれからの未来を背負っていく若者なので応援もしたいし、育ててあげたい」と熊田社長。その日のうちに、北海道から直送されたアワビが店頭に並んだ。