「5秒ルール」で言い争いを回避、実験6000回で実証された口論回避策
「5秒ルール」を実践するには
■「5秒ルール」を実践するには 論文の筆頭著者であるマッカリーは英紙ガーディアンに、こう語っている。「当たり前のことだと感じるかもしれないが、強制的に『間』を挟んだ後に攻撃性が低下することを実験で明らかにした研究は、これが初めてだ。カップルに5秒間の待機を強制することには、10秒間または15秒間の待機と同等の効果があり、ほんの一瞬の『間』でも口論を鎮めるのに役立つことが示された」 実際、タイムアウトを取るというのは、あまりにも明白なようでいて見落としがちな解決策である。子どもだましや単なる逃げだと取る向きもあろうが、たった5秒で意見の相違がもたらす感情的な高ぶりをリセットできるのであれば、取るに足らない小手先の対策とは到底いえない。むしろ、そのシンプルさこそが効果的な理由かもしれない。しかも、実に簡単に実行に移せる。 1. パートナーに5秒ルールについて伝える この研究結果を踏まえて、パートナーと話し合ってみよう。短い間を置くだけで感情的になりそうな場面を回避できること、このルールが2人の関係に役立つ可能性があることを説明しよう。 2. 条件を設定する 5秒ルールをどのように機能させるかをパートナーと話し合おう。合言葉、合図、カウントダウンなど、発動条件を具体的に決めるのだ。間の長さを5秒以上にする可能性や、ルールの適用にふさわしい場合・会話を続けるほうが大切な場合についても協議しておく。このルールはあくまでヒートアップしたやりとりをクールダウンさせる手段であって、難しい会話から逃げるための切り札ではないことを忘れてはならない。 3. 実践してみる 2人の間の空気が緊迫感を増してきたと感じたら、事前に取り決めた発動条件に従い、会話を続ける前に5秒間待ってみよう。家事の分担をめぐる口論でも、白熱したマリオカート対戦でも、論点がずれてしまった議論でも、その数秒が、小さな意見の相違が大きな衝突に発展するかしないかの分水嶺になる。 あまりに単純すぎてうまくいきそうにないと思う人もいるだろうが、れっきとした科学的論拠に基づいたテクニックだ。生涯を共にするようなカップルにとって、5秒間はあってもなくても変わらない時間に感じられるかもしれないけれど、知ってのとおり「一瞬が命取り」ということもある。災害が突発的に起こるように、口論もあっという間にエスカレートする。そして、ほんの数秒間の沈黙によって状況を変えることもできるのだ。
Mark Travers