関空でも神戸でもない…“ナゾの関西第3の空港の駅”「伊丹」には何がある?
阪急を乗り継いで梅田から約20分。ホームはそれほど大きくないようだが…
ともあれ、伊丹の町にはふたつの鉄道駅、玄関口があるということだ。こういう場合、だいたいは私鉄のほうが中心的な存在になっていることが多い。だから、まずは阪急電車の伊丹駅にやってきた。 阪急電車を乗り継いで、大阪梅田駅から20分ちょっと。伊丹駅に着いた。 人口約20万人という伊丹市のターミナルらしく、駅ビルの中にある駅だ。ホームは支線の終点ということもあってかそれほど大きくはないが、「リータ」という名の駅ビルはなかなか立派。 駅ビルの北側にはバス乗り場を備えた広大なロータリーもある。その傍らにはかつてサティが入っていた、いまは関西スーパーが核の伊丹ショッピングデパートという名の商業ビルも建っている。 他にもいくつもの商業ビルが駅の周りを取り囲み、陸橋でそれぞれが結びつく。さらに東側にもあるバス乗り場の向こう側には、細い路地の商店街が続いている。人通りもなかなかのもので、20万都市の真髄というべきか。ともかく賑やかな、阪急伊丹駅前の風景であった。 阪急伊丹駅から広がる繁華街は、主にJR伊丹駅がある東側に向かっている。かといって、反対の西側が閑散としているわけではなく、こちらとて立派な市街地だ。商業ゾーンというよりは、どちらかというと住宅エリアなのだろう。大きなマンションも目に留まる。 実は、阪急伊丹駅はかつていまよりも少し南側に置かれていた。1968年に高架化されるといまの場所に移転している。もう半世紀以上も前のことだから、地上時代の旧駅の痕跡はすっかり消え失せている。 ただ、そちら側にも古いアーケードの商店街があったりして、きっとこれは地上駅の時代に駅前商店街として賑わったのだろうと想像させてくれる。
米と水、水運に恵まれた町にできるもの
阪急伊丹駅東側の商店街を抜けてゆくと、すぐにちょっとした広場に出た。三軒寺前広場というらしい。周囲には神社仏閣が集まり、立派な蔵造りの建物も見える。この広場からさらに東に続く道は、「伊丹酒蔵通り」と名付けられている。 江戸時代、伊丹の町は摂関家のひとつ・近衛家の領地で、現在の伊丹市街地に通じる伊丹郷町は年貢米の集積地という一面もあった。さらにすぐ東側には猪名川が流れる。 つまり、酒の原料となる米が集まり、水も確保でき、できた酒を運ぶ水運の便にも恵まれていた。こういう事情もあって、古く伊丹では酒造業が栄えたという。近代以降も、伊丹は酒造りの町。そうした雰囲気を残す町が、伊丹酒蔵通りというわけだ。 伊丹酒蔵通りをさらに東に抜けてゆくと、マンションの間を通った先にJR伊丹駅が見えてくる。 駅ビルを従え、広々としたロータリーも備えた阪急の伊丹駅と比べれば、JR伊丹駅はだいぶ規模が小さく感じられる。駅ビルなどはもちろんないし、それどころか駅前広場すら乏しい。