赤字路線・日南線の将来像、議論を JR九州が沿線自治体に申し入れ
JR九州の古宮洋二社長は28日、赤字路線の日南線油津(宮崎県日南市)―志布志(鹿児島県志布志市)間の将来像について、宮崎、鹿児島両県の沿線自治体と議論を進めたい考えを明らかにした。路線の存廃は前提とせず、最適な公共交通のあり方を協議する。 JR九州の公表する2023年度線区別収支によると、油津―志布志間(42・9キロ)の1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)は、179人。国鉄から分割民営化された1987年度に比べ73%減り、営業損益は4億1800万円の赤字となった。 古宮社長は28日の記者会見で、利用低迷の理由に志布志駅以降が他路線と接続しておらず、ネットワーク化されていないことを挙げた。その上で「未来に向けどういう形がふさわしいか議論をしていきたい」と述べ、法的な枠組みにこだわらず幅広く意見を求めたい考えを示した。 JR九州の方針表明を受け、宮崎県の河野俊嗣知事は「通勤、通学で利用している人たちがいる。いろいろな選択肢があると思うので、どういうあり方がいいのかしっかり議論したい」と語った。 JR九州は23年11月、利用が低迷している鹿児島県の指宿枕崎線の指宿(指宿市)―枕崎(枕崎市)間についても同様の申し出をして、沿線自治体と協議している。【下原知広、下薗和仁】