U-23のJ3参戦 見えてきた問題点と希望
創設3年目の今シーズンから参加チーム数を4増1減の16チームへ拡大し、大会方式を3回戦総当たりから2回戦総当たりへと変更したJ3が、5月22日の第10節で全日程の3分の1を消化する。 新規参入はJFLから昇格した鹿児島ユナイテッドFCと、J1のガンバ大阪とFC東京、J2のセレッソ大阪のそれぞれU‐23チーム。代わりにJリーグ・U‐22選抜が、2年間に及んだ活動を終えた。 今シーズンのJ3には、J1でナビスコカップを制覇した実績をもつ大分トリニータを含めて、J2で戦った経験のある栃木SC、カターレ富山、ガイナーレ鳥取が捲土重来を期して戦っている。 2年連続で上位につけるAC長野パルセイロも悲願のJ2昇格を目指し、FC琉球もJ2ライセンス申請へ向けて財務状況を整えている。対照的に、U‐23チームの目的はJリーグでこう謳われている。 「23歳以下の若手の公式戦における出場機会を創出し、有望選手の強化・育成に寄与する」 U‐23チームはJ2への昇格資格を有さないと規定された。上のカテゴリーを目指すチームと、若手の武者修行の舞台となるセカンドチーム。目的の異なるチームが同じリーグで混交することで、温度差は生じないのか。あるJ3クラブの幹部は「それはない」と明言した上でこう続ける。 「去年までのJリーグ・U‐22選抜よりは、はるかにチームとして戦っている。選抜チームは寄せ集め的だったし、初めて顔を合わせる選手同士がどうしても多くなったなかで、試合に臨むテンションというかモチベーションがちょっと低いのかな、と思える試合が非常に多かった。実際、大量失点で負けた試合も少なくなかったので」 Jリーグ・U‐22選抜は、週末の試合のベンチから外れた22歳以下の選手から16人をピックアップ。金曜日の夜に集合し、土曜日の練習を経て日曜日のリーグ戦に臨んだ。 すべてを敵地で戦わせることで、タフさを身につけさせる狙いもあった。しかし、時間の経過とともに、選手たちの間からは「連携を築く時間がない」といった言い訳が出るようになった。 実際、チームは2シーズン連続でJ3のワースト失点をマーク。4失点以上が69試合中で16度を数え、昨シーズンの第2節ではレノファ山口に8点を奪われている。 翻ってU‐23チームはどうなのか。最新の順位でG大阪が8位、C大阪が12位、FC東京が15位につけているが、いわゆるサンドバッグと化している試合は少ない。 G大阪は首位のブラウブリッツ秋田、2位の琉球にともに0対1で惜敗。高校3年生にしてプロ契約を結び、プレミアリーグのチェルシーが注目していると報じられた逸材、17歳のMF堂安律は4ゴールをあげて得点ランク2位タイにつけている。 C大阪は琉球を2対1で下し、3位の長野ともスコアレスドローと踏ん張った。FC東京も鳥取を1対0で破り、喫した6敗のうち4つが1点差の惜敗となっている。前出のクラブ幹部が言う。 「チームとして毎日しっかり練習している。加えて、U‐23チームでの活躍が認められ、トップチームでプレーしたいと望んでいるから、試合へ臨むモチベーションも非常に高い。だからこそ、どのチームもU‐23チーム相手にそれほど簡単に勝てないのだと思う」