英ボクスホールがEVとハイブリッドを同価格で販売、この大胆戦略の背景にあること
EV、エンジン車の価格を同じにした最初のクルマ
2024年8月28日、英ボクスホールが新型コンパクトSUV「フロンテラ」を発表した。EVと48VマイルドHVをラインナップするが、驚くのはその価格設定だ。なんと、どちらも「税込2万3495ポンドから」と発表された。とかく割高感があったEVがついにHVと同じ価格になったと英国では大変な話題となっているようだ。一方、親会社であり車両供給元の独オペルからもバッジ違いの同名モデルが発売されたが、こちらは世の常識に倣いEVのほうがかなり高い。果たして、ボクスホールの思惑とは何なのか。 【写真】「ボクスホール フロンテラ」をもっと見る 「ボクスホール(Vauxhall)」は、1903年に誕生した英国の自動車メーカー。紆余曲折を経て、現在はステランティスグループの一員である独オペルの子会社としてオペル車をリバッジして英国内のみで販売している。ラインナップはオペル車に準じており、つまり欧州各地で販売されているオペル車は、英国でのみボクスホール車として販売されている。 去る8月28日(現地時間)、オペル/ボクスホールは新型シトロエンC3エアクロス(7人乗り可能なコンパクトSUV)をベースに開発した新型コンパクトSUV「フロンテラ(Frontera)」をドイツ、イギリスでそれぞれ発表した。 48Vマイルドハイブリッドの「Hybrid」と完全電動の「Electric」をラインナップするが、衝撃だったのはボクスホールが発表した車両価格だ。おそらく世界で初めて、HVとEVを税込同一価格(ともに「デザイン」グレードで2万3495ポンド:下表参照)としたのである。オペル版はHVで2万3900ユーロ~、EVは2万8990ユーロ~と、為替レートや装備に若干の違いはあれどHVとEVには相応の価格差がある。 平均的なガソリン車とEVの価格差は(同一車両クラスで)およそ31%もあると言われている。量産EVが世に出始めたころは、部品点数が少ないEVはいずれガソリン車より安くなると言われていたが、その後の航続距離延伸に伴うバッテリー価格上昇など、割高感はいまだに解消されていない。