話題の「鼻から投与するインフルエンザワクチン」は接種に適した人、適さない人がいる?
フルミストの接種に適した人、適さない人について教えてください
フルミストの接種に適した人は、2歳から19歳未満の健康な子どもや若年者です。インフルエンザに初めてかかるか、感染経験が少ない子どもは、鼻や喉の粘膜表面にインフルエンザウイルスを撃退するIgA抗体がまだないため、フルミストが鼻や喉でしっかりと弱い感染を成立させ、その結果強力な免疫を作ることができるからです。 一方、過去にインフルエンザ感染やワクチン接種の経験がある大人は、すでに持っている免疫によってフルミストのワクチンウイルスをすぐに排除してしまうため、そもそも感染が成立しにくく、十分な免疫がつきにくいことがあります。そのためフルミストは大人よりも子どもに効果的だと考えられています。 また、以下のような方は接種を避けたほうがいいと考えられます。 1。免疫が低下している人(免疫不全患者や免疫抑制剤を服用している人など) 弱毒生ワクチンであるフルミストが感染を引き起こすリスクがあるため不適当とされています。 2。喘息や重い呼吸器疾患を持つ人 喘息を持つ子どもにフルミストを使用すると症状が悪化する可能性があるため、通常は不活化ワクチンの方が推奨されます。 3。授乳中の母親や免疫不全患者が近くにいる場合 経鼻ワクチンは接種後の数週間程度、ワクチン由来のウィルスが鼻や喉の粘膜から排出されることがあるため、水平伝播(周囲にウイルスが広がる)リスクを避けるために使用を控えることが求められます。 4。卵アレルギー、ゼラチンアレルギーがある人 フルミストに含まれる成分にアレルギー反応を示す可能性があるためです。
フルミストの副作用について、教えてください
前述したとおり、フルミスト接種後には軽い風邪のような症状が出ることがありますが、これはワクチンによって免疫が刺激されているために起こるものです。また、経鼻ワクチンは軽い感染を引き起こすため、まれにインフルエンザ検査で「陽性」と出る場合がありますので、接種後すぐの診断には注意が必要です。 その他アレルギー反応が出ることもあります。接種前に医師と相談し、アレルギー体質や喘息などの持病がないかを確認することが推奨されます。 ■教えてくれたのは…草ヶ谷英樹 院長 草ヶ谷医院・院長。東京慈恵会医科大学 医学部 医学科を卒業後、浜松医科大学 呼吸器内科、静岡市立静岡病院 医長などを経て、2021年に祖父・父から続く「草ヶ谷医院」(静岡市清水区)を継承し独立。医学博士、日本内科学会 内科認定医、日本内科学会 総合内科専門医、日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医、日本アレルギー学会 アレルギー専門医、日本医師会 認定産業医。YouTube「Dr.草ヶ谷の呼吸器アレルギーnaviチャンネル」で、疾患情報を配信中! ※記事の内容は記載当時の情報であり、現在と異なる場合があります。 ※記事内容でご紹介しているリンク先は、削除される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
サンキュ!編集部