MLBデータで検証…阪神新外国人ボーアは成功するか?
右投手が足元に沈めてくるバックフットのスライダーにも弱い。 内角低めはほとんどヒットにもならず、何より、空振りが多い。相手がバックフットを使える投手なら、フォーク/スプリット同様、克服しなければならない球種だろう。 ワンバウンドのボール球でも振ってしまう傾向にある。 ただバックフット以外のスライダーであれば、そこそこ捉えてくる。ボーアにとってのホームランボールは、抜けて外角高めに浮いたスライダーか、曲がりきらず、真ん中低め――ゾーン内にとどまるボールということになる。 さて、こうして見てくると、ボーアの得意なパワーゾーンは、右投手でも左投手でも、真ん中やや外角寄り、そして外角高め。逆に、左投手なら、投手の側から見て、左上からの対角線に攻められるのが弱点。外角低めのボールになるスライダーを投げられれば空振りがある。 対右投手には、低めのボールになる落ちる球への対策。バックフットのスライダーを使われれば、さらに投球の幅を広げられて対策が厳しくなる。 ただ、ボーアには器用な一面もあり、そうした低めの変化球に目が慣れてくれば、軽く合わせて角度をつける、という打撃ができる。また、日本投手の配球に慣れ、ボールを見極められるようになってくれば、相手は、ゾーンでの勝負を迫られ、ボーアの結果につながる。相手の右投手は警戒が必要になってくるかもしれない。 最後にランチアングルと打球初速の球種別アベレージを(2015~19)示しておきたい。 対右投手の主な配球(比率) ランチアングル(度)/平均打球初速(mph) 4シーム(35.4%)16.7/91.3 チェンジアップ(16.9%)10.8/88.5 2シーム(11.3%)1.4/95.5 スライダー(10.2%)16.3/91.6 対左投手の主な配球(比率)ランチアングル(度)/平均打球初速(mph) 4シーム(32.5%)6.5/93.1 スライダー(24.2%)12.1/86.6 シンカー(13.6%)-2.7/78.2 2シーム(9.1%)5.8/78.3 つまり対右投手が4シームとスライダーを外角高めにコントロールミスすればボーアにとって絶好の的になる。この2球種のそのコースは、平均ランチアングルが19.6度。平均打球初速が103.0マイル。しっかりと、バレルゾーンに入ってくる。 ボーアは、コントロールと落ちる球に定評のある日本の投手に対する対応力が問われることになるのだろう。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)