益子直美さんが主催するスポーツ大会「監督が怒ってはいけない大会」。子どもたちの成長に本当に必要な指導とは?
実はこのチーム、2023年に行われた前回の長野大会にも参加していたそうです。チームを率いる監督・植松悟(うえまつ・さとる)さんは、そこで「怒らないこと」の大切さを実感したと言います。 ――「監督が怒ってはいけない大会」に2年連続での参加ですね。 植松監督「1回目の開催が決まったときに、関係者の方から『湖南さんは強いチームだからぜひ参加してほしい』と声をかけられたんです。私たちが参加すれば、他のチームの参加意欲も高まるだろうとのことでした。結果、私自身、参加したことで大きな学びが得られましたね」 ――怒らない指導の大切さを感じたということでしょうか? 植松監督「もちろん、礼儀や、試合や練習の姿勢など、怒らなくてはいけない場面もあると思うんです。でもそんなときも『どうして怒るのか』をきちんと説明するようになりました。それと、プレーを楽しむことにもメリハリを意識しています。楽しむこととふざけることは意味が違うので、程よく緊張感を持ち、自分らしいプレーができることの楽しさを知ってもらいたいですね。ただ、ネガティブな言葉は言わないように気をつけています。チームを卒業した子たちからは、『いまの監督はめちゃくちゃ優しいじゃないですか』なんて言われるくらいです(笑)』」
現役アスリートから見た「監督が怒ってはいけない大会」の意義とは
交流試合が終わると、いよいよ閉会式です。「最優秀応援賞」「スマイル賞」「ナイスチャレンジ賞」など、チームや個人を対象に益子さんから賞が授与され、最後に参加した全てのチームに表彰状が渡されました。 益子さんのその思いが届いたのか、閉会式を終えた子どもたちの顔には、達成感と充実感で溢れていました。 スポーツの現場で怒らないこと。これは子どもたちをただ褒める、優しく接するということではありません。大切なのはイギリスのスポーツマンシップにのっとって、子どもたちの主体性を育み、心から楽しんでスポーツに取り組む気持ちを伸ばしていくことです。 そんな大事なことを伝えた今回の長野大会。裏の立役者ともいえるのが、サポートアスリートとして参加した久保大樹さんです。積極的に子どもたちと交流し、試合では誰よりも大きな声で応援をする姿は、きっと多くの子どもたちの心を動かしたことでしょう。 久保さんにも胸中を伺いました。