益子直美さんが主催するスポーツ大会「監督が怒ってはいけない大会」。子どもたちの成長に本当に必要な指導とは?
もちろん、怒らなければいけないときもあります。 「例えば、ルールやマナーを守れなかったり、取り組む姿勢や態度が悪かったりしたときには、ちゃんと怒ってあげなければいけない。ただ、そんなときもきちんと理由を説明することが重要です。また、試合中のミスは怒ってはいけません。そのミスは子どもたちにとってのチャレンジですから、怒るのではなくアドバイスするようにしていただきたいです」 大切なのは怒る、怒らないの線引きをすること。とはいえ、いきなり実践できるものでもありません。どうすれば無用な怒りを鎮められるのか。冷静に子どもたちと向き合えるようになるのか。 益子さんは怒りのコントロールの仕方や、「ミスするな」を「思い切ってやれ」、「どうしてできないんだ」を「チャレンジしてみよう」など、ネガティブな言葉をポジティブな言い回しに変換する「ペップトーク(※)」といった具体的な技術について説明していきます。参加していた監督やコーチは、益子さんの言葉にうなずきながらも、これまでの指導方法について各々振り返っているようでした。 その後、昼食の休憩を挟み、いよいよ交流試合がスタートします。 ※もともとアメリカでスポーツの試合前に監督やコーチが、選手を励ましたり、鼓舞したり、集中力を高めたりするために使われるポジティブな言葉がけ。「PEP(ペップ」は「元気・活力・活気」といった意味
参加した子どもたち、監督の胸中に広がるもの
今回の大会に参加したのは計12チーム。ルールは大会名の通り、「監督やコーチは怒らないこと」。そして「参加する子どもが最大限に楽しむこと」「子どもたちも監督もチャレンジすること」を目標に、交流試合が行われました。 今大会の「監督は優秀」と益子さんも感心するほど、どのチームも、サーブやスパイクが決まると監督、コーチが立ち上がり、子どもたちとハイタッチをして盛り上がります。またミスによって失点したとしても怒るような場面は見られず、的確な言葉でアドバイスするなど、微笑ましくなるような様子があちこちで見られました。