「キモカワイイ」の先へ、アンガールズ田中卓志が「求め続けられる」理由
「キモカワイイ」と評され、そのキャリアをスタートさせたアンガールズ・田中卓志(44)は、時代ごとに様々な側面を見せながら生き抜いてきた。最近では芸人やタレントの強みや処世術を解説するような「批評芸」でも注目を浴びる。芸歴20年、田中はなぜ「求め続けられる」のか。(取材・文:てれびのスキマ/撮影;殿村誠士/Yahoo!ニュース 特集編集部)
俺はムカデに見えてていい
年を重ね円熟期に達した田中。ネットで検索すると「意外とイケメン」などと出てくるが……。 「たぶん、40代以上になると、ストライクゾーンが広くなって、こういう人もいるよねって許容してくれる人がいるんですよね。『意外とイケメン』なんて書いてくれる人は、そういう人たちで、20代ではないと思います。20代までは俺のことなんて、マジでそのへんにいるムカデと同じように見えてると思います(笑)。だって20代の自分も、女性に外見を求めてたような気がするし。だから俺はムカデに見えてていいんです。ムカデも考えてんだぜっていうことは、40代になったら気づいてくれればいいんで」 田中が考える「カッコいい男」は「西麻布や六本木でうろちょろしていない人」だと笑う。どこまでもマジメなのだ。
「『大丈夫だって』みたいな言葉が一番怖いですね。このくらいの年になると、ちょっとした欲望に負けて、やらかしちゃって、実力はあるのにテレビに出れなくなってしまった芸人さんを何人も見てきましたから。そういう遊びたいっていう思いで、最初に抱いていた夢を壊してしまうのを見るのは悲しくてしかたないです」 そんな田中が現在注目を浴びているのは芸人のネタの長所やポイントを的確に論じたり、タレントのテレビの出方やその技術を解説するような「批評芸」だ。 「これ、やったらいけないことなのかなって一瞬思うとこもあったりしたんですよね。だから、そこだけが不安で、俺、どっかで転落するんじゃないかなって(笑)。“禁断の実”を食べてるのかもしれない。そんな気持ちも若干あるんです」 「何か偉そうにも見えるし、どうかなとも思ったんですけど、求められている分には、やっていきたいという感じですね。もともと、これがこうなったから笑いが起きてる、みたいなことを考えるのが好きなんですよ。理系出身なので、問題があったとしたら、それを全部理論で考えていくタイプなんです」