「キモカワイイ」の先へ、アンガールズ田中卓志が「求め続けられる」理由
「今、自分は50代が迫ってる。“生き残る”って言い方はあんまり好きじゃないけど、やっぱり同世代の芸人が淘汰されていくじゃないですか。そうなったときに自分の仕事があるのかなっていう悩みはあります。たとえば、50代でいまもテレビ出てる人ってMCをきっちりやって自分の城を持っている人たちばかり。そうじゃない人は、ひな壇で周りをケアしてる人なんですよね。あとは出川(哲朗)さん的な奇跡が起こるか(笑)。あの人はとんでもなく周りに笑顔を与えるキャラクターだと思うんですけど、周りの人と一緒にやったときに、面白くなれるっていうのが40~50代の仕事だと思います。だから、番組に出たての若手とかがいたら、うまく絡んで笑いにしてあげようっていうのは意識してます。ああ、こういうこともできる人なんですねっていうのを番組スタッフの人に名刺配っているような状況です。もちろん理想でいえば自分の番組を持ちたいっていうのはあるんですけど、とりあえずテレビの世界でどんなかたちでもいいから、お笑いをしっかりやっているなっていう感じは残せればいいなって思います」
路頭に迷うのだけは嫌だから、なんとか俺が引っ張る
もともと田中は『ボキャブラ天国』ブームでお笑いの世界に興味を持ち、東野幸治にあこがれて芸人になった。東野が今田耕司らとやっていた『冒冒グラフ』(フジテレビ)のようなシュールなコント番組をやってみたいと思っていたが、アンガールズがデビューしたころはテレビでコント番組をやるのは困難な時代になっていた。 「それでも、『ジャンガジャンガ』で『ボキャブラ』ブームに近いお笑いブームみたいなものに一回乗れた。ただ、なってみるとお笑い芸人って仕事は大変だなって。やっぱネタは生みの苦しみがあるし、現場行ったらほぼ必ずちゃんと笑い取って帰んないと、次はゲストに呼ばれなかったりする。常に成長していかないとまず仕事ができなくなる。 “ゴールがないマラソン”で、走り始めたらずっと走ってて、自分が前のほうにいるか、後ろのほうにいるか、如実に分かる。何かブームが来たら一気に最前線に持ってかれて、ブームが終わったら後ろのほうにぐーっと下げられてっていう。苦しすぎます。嫌だなと思うときもあるんですけど、周りがマジで面白い人ばっかりだから、現場が面白いんです。この高いレベルの笑いを目の前で見て帰れるっていうのが、すごい幸せな状況だなって。俺はそれが好きだから、こういう状態にずっといたいと思うんですよね。最先端の笑いを目の前で見れるっていうの、特等席だなと思うと、結構しんどいことも乗り越えられるなって」