「キモカワイイ」の先へ、アンガールズ田中卓志が「求め続けられる」理由
もちろん芸人の在り方も時代によって変化していき、テレビのバラエティー番組だけではなく様々な場所に活躍の場が広がってきている。 「芸人一筋でやってますっていうのより、他のことで評価された人のほうが世の中的に評価されているので、いろいろなことをやったほうがいいのかなとも思いますね。以前、自分がやった『田中が考え中』というライブで書いた長尺コントのようなドラマの脚本を書いてみたいというのもありますし、自分の好きな紅茶をオシャレな空間で入れて飲むだけのYou Tubeとかもやってみたい。ボケなしで(笑)。再生数が上がらなかったら恥ずかしいなとかってなかなか踏み出せないんですけど。同期のキングコングはYouTubeとかのほうが稼げるってそっちのほうに行ったり、ピースの綾部くんがニューヨークへ行ったり、又吉くんは小説で賞をとったりして、正直焦りますね。何かお笑い以外の違うこともやらないといけないんじゃないかって。俺を不安にさせます、あいつらは(笑)。でも周りと比べても仕方ないですから」
とはいえ田中は、アンガールズとして単独ライブを精力的にこなしている。今年もコロナ禍の中、20周年のライブを開催した。 「コンビでテレビに出ることは少なくなってきていますけど、ネタのときだけは2人だけで映る状況になれる。だからネタを続けているっていうのはありますね。この業界はオファー次第。40代のコンビの芸人にオファーするって、番組も場所も限られますから。山根は、“ビジネスパートナー”みたいになっちゃったから、もう一回、“友達”に戻りたいみたいな甘えたこと言ってくるんですよ(笑)。一緒に旅行したいとか言うけど、それをやるとしたら80歳くらいになってからでいいじゃん。今の状況でそんな甘っちょろいことを言ってたら、この先2人とも仕事がなくなって、どっちも路頭に迷うのだけは嫌だから。今はなんとか俺が引っ張って、80くらいで、テレ東の土曜スペシャルの枠とかで山根と2人旅ができるようにがんばるしかないと思ってます」
田中卓志(たなか・たくし) 1976年広島県生まれ。広島大学工学部第四類建築課程卒業後、2000年に山根良顕とアンガールズ結成。コンビ結成20周年を迎え、今月23日には単独ライブをDVD化した『アンガールズ単独ライブ「彌猴桃は7304日後に」』を発売。新作コント5本、日替わりで披露されたリメイク版コント4本のほか、田中のお母さん作のショートコントやアンガールズクイズ完全版、ライブ未公開映像も収録する。