「これは凄い」…何気ない会話で助っ人のパフォーマンス激変 Jリーグ通訳が授ける言葉の魔法【インタビュー】
Jリーグで働く外国語通訳の仕事とは?
Jリーグでは、ピッチ上で華々しい活躍を披露する選手を数多くのスタッフが支えている。外国籍選手のサポート役となる通訳もその1人。酒井龍氏は2021年から3季、2つのJ1クラブで英語通訳を務めた。中継などで存在を目にすることがある通訳は、実際にどのような仕事をしているのか。また、“貴重な戦力”として勝利に貢献する場面もあるという。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・山内亮治/全3回の2回目) 【動画】日本人FWが「英語ペラペラ」 渡英3か月とは思えないインタビューの瞬間「めっちゃ流暢」 ◇ ◇ ◇ 2021年にサガン鳥栖、22年から23年にアビスパ福岡で選手の英語通訳として活躍した酒井龍氏。本人曰く「英語力がほぼゼロ」という状態からオーストラリア留学に踏み切り、帰国後はJリーグクラブ関係者らとの関係性を構築しながらスタッフの立場でプロの世界に立った。 念願の通訳になってからは、常に勝利を目指すプロの現場の高い基準に圧倒されるも、着実に経験と技術を積んで23年には福岡でルヴァンカップ優勝を経験。この職業を目指すにあたって掲げた「日本一のサッカー通訳になる」という夢を見事に叶えた。そんななかで、酒井氏はどのような仕事をしてきたのか。 選手の通訳と聞いて、まず思い浮かべるのは試合中にピッチサイドで指示を伝える姿や試合後のインタビューなどを手助けする様子。しかし、それらはカメラが捉える表面的な部分にすぎない。通訳について酒井氏は「24時間体制の仕事」と一言。むしろ、仕事の本質はピッチ外でのサポートにある。 「夜中に子どもが熱を出したと助けを求められたことがありました。とはいえ、緊急事態は昼夜問わず起こり得るので、いつでも動けるよう通訳は準備しておかなければなりません」 緊急事態に限らず、些細に思えるようなことにもサポートを怠ってはならない。「選手の配偶者をネイルサロンに連れて行ったこともあります」。選手がピッチ上で見せるパフォーマンスの成否を左右するそうだ。 「外国籍選手が家族と一緒に来日した場合、彼らも苦労しながら日本の生活に適用しようとしています。なので、自分のプレー以外にも考えないといけないことが多い。そんななかで、些細に思えることでもそれが選手の中で引っかかってしまうとプレーに影響を及ぼしますし、選手の調子が良くないなと思う時は大抵何かプライベートで問題を抱えています」