和のかき氷が人気 日本茶、さんしょう… 進化系メニューが続々
猛暑で近年ブームが続くかき氷。個性豊かな進化系メニューが続々登場する中、和の素材を活用した提案が増えている。シロップに日本茶を使った「茶氷」や、さんしょうなど意外な素材を使ったかき氷が楽しめるフェアが話題を呼んでいる。かき氷を通した国産農産物の魅力発信に期待がかかる。 【写真で見る】さんしょうを利かせたかき氷 民間の気象予報会社・ウェザーニューズ(千葉市)の調べによると、気温が34度を超えると、かき氷の需要はアイスクリームを上回るという。年々夏場の気温が上昇して35度超えの猛暑日が各地で続出する中、かき氷の需要は増加。近年では、ぜいたく感のある進化系かき氷が数多く登場している。日本かき氷協会によると専門店も含め、「かき氷を提供する飲食店の数は、この10年で10倍以上に増えた」という。 静岡市の高級日本茶専門店・MARUZEN Tea Roasteryは、茶葉の焙煎(ばいせん)温度別に味の違いを楽しめる茶氷を6~9月限定で販売する。茶氷に使われるお茶シロップは、焙煎をしない抹茶と荒茶、焙煎温度80度の玉露、同100度と130度の煎茶、同160度と200度のほうじ茶、同130度の玄米茶の8種類。同店舗の運営会社・WithFunフードは、焙煎温度の違いで異なる香りや味を楽しめることから「食べ比べのためにリピートする客も多い」と話す。 同店舗は、開店当初から、焙煎温度帯でお茶とジェラートを選ぶ日本茶の楽しみ方を提案。これをかき氷に応用し、日本茶の魅力発信を強化する。同社は、「自分好みの日本茶の味を見つけてほしい」と話す。 東京都渋谷区の表参道ヒルズではこの夏、和の素材にスポットを当てたかき氷フェア「日本を旅する大人のかき氷」を開催。館内の飲食店6店舗がオリジナルかき氷を提供する。特徴は、意外な和素材の数々だ。「やさい家めい」では、メロンを丸ごと使用したかき氷に、京都産の粉さんしょうを利かせたエスプーマ(泡状のムース)をトッピング。別添えの高知産スダチを搾れば、さっぱりとした味わいも楽しめる。 「37ローストビーフ」では、きな粉や北海道産小豆を使った粒あん、冷やし焼き芋、西京みそを使ったソースなど、和の素材をふんだんにトッピングしたかき氷を提供する。 表参道ヒルズは、意外性のある食材を組み合わせたかき氷の「多彩な味わいと驚きを通して、日本の食文化の奥深さや多様性を感じてほしい」と話す。 同フェアは9月1日まで。 (永井陵)
日本農業新聞