反政府勢力がアレッポを占領 シリアで5カ国の思惑が交差
アレッポ、シリア、12月3日 (AP) ― シリアの反政府勢力は、同国北部の広大な政府支配地域に進撃、同国最大の都市と国際空港、さらに近隣の町や村を占領した。 反政府勢力は、州都アレッポにある大統領官邸と国際空港を占拠。 アレッポ市内では、アサド大統領の兄にあたる故バースィル・アサド氏の乗馬姿の銅像が、市民の手で馬から引きずり落とされた。 サルフィー・ジハード主義グループの過激派組織ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)が率いる反政府勢力による攻勢は、トルコとロシアが仲介した2020年3月の停戦以降、国内で最も激しい武力衝突に発展したが、アレッポを占領した結果、シリア北部に一応の平穏をもたらした。 レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラが、過去数年間に国外にいた戦闘員をレバノンに引き揚げ、この紛争で重要な役割を果たしたロシアが、ウクライナ戦争で泥沼にはまり込んでいる最中に、反政府勢力が台頭してきた。 州都を含むアレッポ県の大部分と北西部イドリブ県の南部を制圧した反政府勢力は、シリア中部の都市ハマに向けて進撃するかとみられたが、いまのところ政府軍と親政府武装グループによって阻止されている。 ロシアとシリア空軍は過去数日間に、十数回の空爆を敢行、反政府勢力に多くの死傷者を出した。 シリア東部に展開する米国をはじめ、北部のトルコ、ゴラン高原を占領するイスラエル、アサド政権の主要な支援国イラン、そして地中海沿岸の政府支配地域のロシアと、5カ国が何らかの形でシリアに軍隊を駐留させている。 (日本語翻訳・編集 アフロ)