崖っぷちの石破首相 在職日数戦後最短記録更新なるか 新たなスキャンダルあれば現実味
10月1日に発足して間もない石破茂内閣が早くもピンチを迎えている。新体制で臨んだ先の衆院選で大敗し、少数与党に転落。党内からは不満の声が噴出し、石破首相(自民党総裁)が頼みとする支持率も急降下している。崖っぷちに立つ首相の背中を新たなスキャンダルが押せば、首相在職日数の戦後最短記録更新も現実味を帯びる。 【年代別でみる】石破内閣を「支持する」が「支持しない」を上回った唯一の年代は? ■報道各社の世論は軒並み下落 「先般の衆院選の結果を厳粛かつ謙虚に受け止め、経済対策、補正予算について、党派を超え、優れた方策を取り入れ、意義あるものを実現するなど、多くの党の理解を得て、丁寧に国家に責任を持った政策運営をしていきたい」 林芳正官房長官は5日の記者会見で、各種世論調査が示した内閣支持率の急落についてこう語った。 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2、3両日に実施した合同世論調査によると、石破内閣の支持率は政権発足直後の前回調査から9・5ポイント下がり43・8%だった。 他社の調査も同様の傾向を示している。共同通信は18・6ポイント下落し、32・1%。朝日新聞は12ポイント下がって34%となった。自民の「政治とカネ」の問題をめぐるチグハグな対応や、安倍晋三元首相を「国賊」と呼んだ人物の登用を象徴とする「お友達偏重人事」などが批判されたとみられる。 大逆風の中で注目を集めているのが石破首相の在職日数だ。戦後最短は東久邇宮稔彦王の54日(昭和20年8月17日~昭和20年10月9日)。選挙で国民から厳しい審判を下された石破首相とは異なり、GHQ(連合国軍総司令部)との確執を受けた内閣総辞職だった。 もっとも、石破首相の退陣は「時期尚早」というのが自民内の相場観だ。衆院選で公示前の4倍となる28議席に増やした国民民主党との連携に光明を見いだしたとの声は少なくない。 ■「火中の栗を拾いたくない」 火中の栗を拾いたくないという思惑も透ける。少数与党の党首となれば、法案成立に向けた他党との交渉などで神経をすり減らす事態は避けられない。 先の自民総裁選で高市早苗元政調会長を支援した自民関係者は「今、首相を辞めさせる必要はない。どうせ政権は長くはもたない。首相交代論が強まる来年の参院選までに予算成立など困難な問題を処理させればいい」と強調。「(決起の際は)線香花火では駄目だ。一気に大爆発を起こす必要がある。高市政権を誕生させる」とも息まいた。