大阪 地震で本散乱した旭区の古書店「過去の教訓生かして営業再開」
大阪 地震で本散乱した旭区の古書店「過去の教訓生かして営業再開」
18日午前に大阪府北部で最大震度6弱を観測した地震。震度5強を観測した大阪市旭区の古書店「千賀書房」では地震発生から半日後も、棚から落ちた本の片付け作業に追われ、THE PAGE大阪でもその様子を伝えた。その後、店内はどうなったのか。再び同店を訪ね、店主に話を聞いてみた。 【拡大写真付き】地震発生当日の「千賀書房」は本が散乱
18日は臨時休業も19日には営業再開
20日夜、同店の扉を開けると、地震発生直後に散乱していた本がきれいに片付けられていた。一方で、店主の奥野明さんはコミック本を袋につめる作業に追われていた。「18日は臨時休業しましたけど、19日には店を開けました。ただ、今も完璧に片付けが終わったわけではありません」と苦笑する。 1995年の阪神淡路大震災で書棚そのものが倒れて大きな損害に苦しみ、その後、棚の固定など地震への備えを施したこともあり、今回は95年の時よりも本が落ちた数は少なかったという。 しかし、蔵書は約10万冊。一部では床が見えなくなるほどの本が落ちていた。そして1人で片付け作業をしていることもあり、元に戻すまでには少し時間を要する。
阪神淡路大震災の教訓を生かす
95年の震災以来、本棚と柱をボルトで頑丈に固定して地震に備えた。本はすき間なくつめた。それまでは、商品に傷がつくのを恐れ、すき間を開けながら商品を並べていた。しかし、95年の地震で本がかなり崩れてしまった。以来「作業は大変ですけど、手間をかけ棚に少しきつめに本をつめます。手でやると、ほどよい加減でつめられるからです。これが機械だとかなりきつくつめてしまうので」と奥野さんは話していた。 また、読まない本は、都度ビニールとセロテープを使ってまとめて棚に置くようにすればいいのではと話す。その理由を聞くと「これは私の持論ですが」と前置きした上で「まとめてる方が、万が一落ちた時もよけやすい。一冊ずつ置いていると落ちる時はバラバラになってしまう。コミック本でも、たくさんの本がバラバラに落ちたら、余計に重たいですから、ご自宅でも本を保管する際は、ビニールでまとめてみるといいかもしれない」と話す。 奥野さんは、もし営業中に地震が発生し「お客さんに当たったら大変」という心配もあった。そのため「作業の手間は惜しみません。まあ、これはあくまでも、私の地震対策ですがね」と話していた。 しかし、これらは阪神淡路大震災の教訓を生かして、対策を施したからこそ、被害をその時よりも抑えることにつながったのかもしれない。