親の援助を受けて「住宅購入」する際の非課税措置とは?夫婦で「共有名義」にする場合の注意点も税理士が解説
「適切に住宅を取得する」ためのポイント
特例の対象となるには、条件を満たしていなければいけません。スムーズに特例の適用を受けるためにも、取得時のポイントをチェックしましょう。 面積や利用目的など住宅の条件を確認しよう まず確認するのは住宅の条件です。購入者本人が居住するための住宅であり、登記簿上の床面積が40~240平米以下でなければなりません。床面積の1/2以上が居住用に使われていることも条件です。このような条件を満たしており、かつ自分たちの希望をかなえる物件を探す必要があります。 また、特例で贈与税を非課税にするためには、贈与を受けた翌年の3月15日までに居住し始めなければなりません。そのため、贈与は購入したい住宅を見つけてから受けるとよいでしょう。 資金負担の割合をもとに持分を決める 住宅を購入するときには、売買契約までに共有名義にするかどうかを決定します。この時点で夫婦の持分まで決める必要はありません。 ただし住宅を登記する際には持分も記載されるため、そのときまでには夫婦がどのような割合で共有するかをはっきりさせましょう。持分は、住宅購入資金を負担した割合に従って決まります。1/2ずつ出しているなら、持分も1/2です。1/10しか資金を出していないにもかかわらず、1/2の持分に設定してはいけません。仮にそのように設定していると、資金を多く出した側からの贈与とみなされます。 また持分を決定するときには、諸費用や利息を除いた金額で計算しましょう。
「非課税枠を超える金額」を支援してもらう場合
非課税の範囲を超えて住宅取得資金の贈与を受けると、通常であれば贈与税を納税しなければいけません。ただし共有名義の利用や他の制度との併用により、贈与税を非課税にできる方法もあります。 親と共有名義にする 一つ目は親と共有名義で住宅を購入することです。特例で非課税になる限度額までは贈与を受け、それ以上の資金については、親の出した資金として持分を設定し共有名義にします。親の死亡時には相続が必要ですが、贈与の段階では課税されません。ただし兄弟姉妹がいる場合には、相続時のトラブルに注意しましょう。分割を要求されるケースもあるため、親の持分として設定する割合を事前に相談し、遺言書を作成しておくとよいでしょう。 暦年贈与の活用、非課税特例との併用とは 贈与を受けるときには『暦年贈与』といい、年間110万円まで控除を受けられる方法があります。これは住宅取得等資金贈与の特例と併用可能です。特例により1,000万円が非課税となる上限であれば、暦年贈与と合わせ1,110万円までを非課税で受け取れます。また110万円は毎年控除を受けられるため、数年に分けて少しずつ贈与を受け取ると、非課税で資産の移動ができます。 たとえば3年間にわたり、毎年110万円を贈与してもらえれば、贈与税の負担なく合計で330万円を受け取れるのです。