中央銀行も投資家も…金購入に奔走、今年だけで41%価格上昇
韓国では金1グラムあたりの価格が12万ウォン(約1万3300円)を超えた。政治・地政学的な不確実性で、金の価格が今年に入って41%以上も高騰した。 韓国取引所によると、金1キログラム現物の1グラムあたりの価格は4日基準12万2030ウォンで昨年末(8万6340ウォン)に比べて41.3%急騰した。先月23日には歴代最高額の13万ウォン台を突破した。ストーンリング1匁(3.75グラム)の消費者価格は最近55万ウォン(付加価値税など含む)に達する。金価格が高止まりして年間上昇率(41.3%)は4日基準で韓国総合株価指数(KOSPI)(-2.5%)はもちろん、新高値を数回更新した米国スタンダード&プアーズ(S&P) 500の今年の上昇率(20.1%)よりも高い。 韓国国内の金価格に影響を与える国際金価格も上昇している。昨年末ニューヨーク商品取引所(COMEX)で1オンス2081ドル(現レートで約31万7270円)で取り引きされていた金先物価格は今月3日(現地時間)には2747.4ドルまで上昇した。特に取引中に2800ドル台を突破し、先月末と比べると34.5%急騰した。 金価格が高騰すると資金は金市場に向かった。韓国取引所によると、今年に入って先月まで10カ月間の金取引代金は1兆9634億ウォンで昨年年間取引代金(1兆1286億ウォン)を超えた。特に過去1カ月間の取引代金だけで4641億ウォンとなり、1月(1149億ウォン)のほぼ4倍となった。 金は利子がつかないため政策金利が下がる時に投資の魅力が高まる。9月米連邦準備制度理事会(FRB)が30カ月ぶりに通貨政策を緊縮から緩和で転換(ピボット)してから金価格の騰勢が強まった。これに加えて先月から「政治・地政学的不確実性」が増して金価格上昇に火がついた。特に世界的な政治イベントである米国大統領選挙が5日(現地時間)に行われる。 ◇利下げ、中東不安に…「来年の金価格、3000ドル突破」 終盤まで薄氷対決が予想されて大統領選挙以降の国際金融市場の不確実性が大きくなった。 韓国NH投資証券FICCリサーチセンターのファン・ビョンジン・センター長は「大統領選挙の結果を直ちに占うことは難しいが、米国は(大統領選挙以降)財政赤字への懸念やインフレ(物価上昇)再点火などの不確実性が高くなる可能性がある」とし「投資家は政治・地政学的不確実性に対応して金を購入している」と話した。 大口投資家である世界中央銀行の「金買い占め」も金価格高騰の理由だ。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、今年上半期世界中央銀行は1年前より5%増加した483トンの金を購入した。上半期基準で過去最大だ。特にトルコ(テュルキエ)・インドなど新興国が積極的だ。市場ではドル依存度を低くするために安全資産である金を購入したとみている。 最近国際投資銀行(IB)は来年まで金価格が上昇すると予想している。シティグループ・リサーチは6~12カ月の金価格見通しを1オンス3000ドルと提示した。報告書では「中東地域の緊張が持続し、中央銀行が積極的に金を購入するため金価格上昇が続くだろう」と展望した。ゴールドマン・サックスも最近の報告書で「世界的な利下げと地政学的リスク、中央銀行の需要拡大などで金価格が徐々に上昇するだろう」と展望し、来年初めの価格を従来の1オンス2700ドルから2900ドルに引き上げた。 これとは違い、今年右肩上がりの金価格が短期的に安定を取り戻す可能性があるとの意見もある。ハナ証券グローバル投資分析室のイ・ジェマン室長は「少なくとも米国大統領選挙が終われば市場での不確実性が和らぎ、(米国の)利下げペースや幅がそれほどではないため、年末には金価格上昇が一服するだろう」と予想した。