「リンゴ病」が都内を中心に流行、6年ぶりに警報基準超える 大人も感染、流産リスクも
「伝染性紅斑」(リンゴ病)が、東京都内を中心に流行している。両頬や体が赤い発疹が出ることが特徴で、妊婦が感染すると流産の原因となるケースもある。全国の定点医療機関(約3000カ所)から報告された患者数は数年ぶりに増加傾向。東京都は平成30年から6年ぶりに警報を出しており、警戒が高まっている。 【グラフでみる】「伝染性紅斑」(リンゴ病)1医療機関あたりの患者数の推移 ■4~6年ごとに流行 国立感染症研究所によると、全国の定点医療機関から報告された患者数は、今月17日までの1週間に1医療機関当たり0・56人。過去4年連続で同期の患者数は0・01で、少ない状況が続いていた。これまでの大きな流行は平成19年、23年、27年などとほぼ4~6年ごとの周期で流行を繰り返しているという。 都道府県別では、東京都(1・93人)▽埼玉県(1・92)▽神奈川県(1・44)▽千葉県(1・29)▽青森県(1・14)―の順で多く、ほぼ全国から患者報告がある。 国が示す基準値では、伝染性紅斑の警報レベルは、1医療機関当たりの報告数が「2・0」を超えた場合に大きな流行が疑われるとしている。これに加え、都は「警報レベルにある保健所の管轄する人口の総計が、都全体の人口の30%を超えた場合」も基準として定めている。 都によると、今月17日までの1週間に1医療機関当たりの患者数が、警報レベルにある保健所が15カ所あり、その保健所管内の人口は都全体の57・75%となるため、警報基準に達したという。 今年の都内の累計患者数は4966人で、95・3%が9歳以下の子供で、うち5~6歳が32・0%で最多だった。 ■手洗いやマスクの徹底を 厚生労働省などによると、伝染性紅斑はヒトパルボウイルスB19を原因とする感染症で、主にせきやくしゃみを介して感染する。患者は小学校入学前後の子供が多い。 数日~2週間ほどの潜伏期間の後、両頬や腕、足などに赤い発疹が出る。両頬に発疹が出る前に発熱や風邪のような症状が出ることが多い。 ほとんどが自然に回復するが、大人がかかると頭痛や関節炎などがみられることもある。特に妊婦が感染すると胎児に感染し、流産や死産などの原因となることがあるため、注意が必要としている。
伝染性紅斑には特別な治療法はなく、患者に合わせた対症療法を行うのみ。各自治体などは予防策として、アルコール消毒が効きにくいため、せっけんでの手洗いやマスクの着用、せきエチケットの徹底などを呼び掛けている。(王美慧)