「深刻な債務超過」の住宅ローン、全米で増加-金利上昇が市場冷ます
(ブルームバーグ): 米国では現在、およそ37軒に1軒の住宅で、住宅ローンの残債が物件価値を大きく上回っている。9日に発表されたデータが示した。
不動産データ会社アットムが発表した2024年1-3月(第1四半期)米ホームエクイティー&アンダーウォーター・リポートによると、同四半期には住宅の市場価格を25%以上上回るローン残高を抱えた住宅が全米で2.7%あり、前四半期の2.6%から増加した。
こうした住宅が占める割合は上昇しているものの、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前は現在の2倍以上だった。
住宅ローンが深刻な債務超過に陥るのは一般に、住宅を高く買い過ぎた場合か、あるいは少ない頭金で購入した場合だ。
パンデミック期には政府の景気刺激策と不動産価格の上昇が住宅所有者に大きな恩恵をもたらしたが、インフレ抑制を目的とした金利上昇が、ついに住宅市場を冷やしつつあるのかもしれない。
米南部の幾つかの州では、深刻な債務超過に陥っている住宅の割合が他の州よりも大きく増加している。ケンタッキー州では今年1-3月に8.3%と前四半期の6.3%から急上昇。ウェストバージニア州は4.4%から5.4%に、オクラホマ州は5.5%から6.1%に、アーカンソー州は5.2%から5.7%に増加した。
債務超過の住宅の数が大きく増加したのも南部諸州で、最大のケンタッキー州は前年同期比で2万500軒以上増加。2位、3位のミシシッピ州、オクラホマ州の約2倍だった。
人口50万人以上の都市圏ではルイジアナ州バトンルージュが13.4%と、第2四半期に深刻な債務超過に陥った住宅ローンの割合が最も高かった。2位もルイジアナ州のニューオーリンズで7.3%、3位はミズーリ州ジャクソンで6.5%、4位はアーカンソー州リトルロックで6%だった。ニューヨーク州シラキュースは5位で、5.6%の住宅が深刻な債務超過状態にあった。
原題:‘Seriously Underwater’ Home Mortgages Tick Up Across the US(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Alexandre Tanzi