ホンダのダルベルトが今季初勝利から週末2勝。プジョーの新鋭も初優勝/TCRオーストラリア第5戦
南半球サマーバカンス明けの1戦として、8月2~4日にクイーンズランド・レースウェイで争われたTCRオーストラリア・シリーズ第5戦は、元王者トニー・ダルベルト(FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ホンダ・レーシング・チーム・ウォール)が週末3ヒート中で2勝を飾るスピードを披露。さらにレース2では、古豪ギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)に所属する新鋭ライアン・カシャ(プジョー308 TCR/チーム・バルボリンGRM)が、リバースポールの好機を捉えてシリーズ初優勝を飾っている。 【写真】元BTCCレギュラー、トム・オリファント(ヒョンデi30 N TCR)が待望の移住後初ポールを獲得 6月初旬に旧タイレムベンドことザ・ベンドにて開催された第4戦から、約2カ月のインターバルを経て再開されたシリーズは、レースウイークを前に悲しいニュースで幕を開けることに。2019年の新規開催以降、オーストラリア大陸が誇る“聖地”での新たな国際イベントに育てようとの意気込みで実施されてきた『バサースト・インターナショナル』が、実質3回目となる今季限りでその役割を終えることとなった。 「継続的にハイレベルな国際モータースポーツ・コンテンツをイベントに誘致することがますます困難になっている。これまで初開催以降、誰もが知る困難な時期も開催に尽力してくれたすべての人々に、改めて感謝を申し上げます」 そのバサースト・インターナショアンルを最終戦に組み込む2024年シーズンのTCRオーストラリアでは、前戦で連勝劇を飾ったザック・スーター(アウディRS3 LMS 2/タフリスト・レーシング)がポイントリーダーとしてクイーンズランドに乗り込むなか、走り出しはホンダ陣営のエースがトップタイムで先行する。 続く予選では、こちらも前戦より王者ジョシュ・バカンからマシンを引き継いだばかりの元BTCCイギリス・ツーリングカー選手権レギュラー、トム・オリファント(ヒョンデi30 N TCR/HMOカスタマー・レーシング)が待望の移住後初ポールポジションを射止めた。 その歓喜に沸いたオリファントだったが、新たな愛機がエンジン交換を強いられたことで、2戦連続での5グリッド降格処分が確定。レース1は6番手発進から巻き返しを図ることとなった。 これでライバルが視界から消え、実質先頭スタートの権利を手にしたのがFL5型シビックRに乗るダルベルトで、ライトが消えて以降は誰にも首位を脅かされることなくアーロン・キャメロン(プジョー308 TCR/チーム・バルボリンGRM)やスーターのアウディを従えポール・トゥ・ウインを達成。レース距離未到達により、幻となった第2戦レース1の雪辱を晴らす、正真正銘の今季初勝利となった。 ■オリファントが速さを見せるも、結果につながらず 続くレース2でダルベルトの僚友ウィル・ハリス(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/エクスクルーシブ・スイッチボード・ウォール・レーシング)と並んでリバースポール発進を切ったカシャは、背後の2列目にチームメイトのジョーダン・コックス(プジョー308 TCR/シェフラーGRM)とベン・バルグワナ(プジョー308 TCR/ハンチャ・レーシング)を従えホールショットを決めると、前方のクリーンエアを最大限に活用してタイヤを管理。ミスのないドライブで引き離し、最終的にコックスに対し2.3秒差でシリーズ初優勝を飾った。 一方、オープニングヒートで4番手まで挽回していたオリファントは、このレース2でもスピードを見せつけ上位争いを展開。しかしターン3でキャメロンとバルグワナに並びかけ3ワイドに持ち込んだ際、接触したことでドライブスルーペナルティを受け11位でチェッカーを受けた。 「まったく冗談だ。何をされたのかさえ分からない」と、レースコントロールの裁定にも不満を述べたオリファント。 迎えた週末最終ヒートは、ふたたび首位発進を決めたホンダのダルベルトがレースをコントロールし、選手権首位スーターとレース2でも3位表彰台獲得の王者バカンが続く実力者同士のポディウム争いに。その背後で僚友に0.5秒と迫ったオリファントが、またも4位でチェッカーを受けた。 このレースウイークで、ともに2回の表彰台を獲得したスーターとバカンが選手権上位を固め、ランキング3位にはコックスが浮上したTCRオーストラリア・シリーズ。続く第6戦はふたたび間隔が空き10月18~20日にシドニー・モータースポーツパークで再開される。 [オートスポーツweb 2024年08月10日]