畑で採れた野菜でつくった「芋炊き」が絶品。今年の収穫を振り返って思うこと
東京と愛媛で二拠点生活をしている作家・作詞家の高橋久美子さん。採れた野菜を食べ、4年目の秋を迎えた今年のことを振り返ってもらいました。
あっぱれ秋晴れ。海と畑からの恵みに歓喜
ウロコ雲が空を泳いでいく。サク、サク、サクっと、土を耕す鍬(くわ)の音がひびく。鳥が新しいリズムで鳴き始める。畑をするにも、いちばんいい季節だ。 愛媛と東京を行き来しはじめて、3年が過ぎていた。畑は相変わらずうまくいかないことばかりだけれど、土に触っている時間が自分には必要だなあと思う。 同じように、土に触れたいなあと、県内外から友人が遊びにくるようになった。一か月に一度の人もいれば、一年に一度の人もいる。今ある野菜で、母や友人となにかつくって一緒に食べるのも楽しい。先日は、高知の方がカツオのたたきを持って来てくれた。 私は畑をチームにしていて、それぞれにつくりたいものをつくっている。ショウガをつくっていたメンバーもいたので、よし、ショウガ掘ろう! ということに。春に植えたショウガを、また同じメンバーで掘り出す。おおできてるできてる! 新ショウガ! 土の中から、ハリハリのショウガがお目見えだ。 里芋も掘って芋炊きしよう。里芋ゾーンを掘り起こすも、あれ、全然ない…。里芋は20畳分くらいはやっていたけど掘ってもたまに出てくるくらい。今年はイナゴが大量発生して葉っぱを全部食べられてしまったからなあ。中で腐ってしまったんだな。まあ、仕方ないよね、あるだけ食べよう。 芋炊きといえば、ゴボウが欠かせない! ゴボウも春に植えていたんです。掘るのが大変だから、友人にもらったでかいタンク(底を切っている)の中で育てていた。そいつを、ごろんと転がして、ゆさゆさゆさ。ん? あるかな。小さい、こっちも小さい。お! やった! 大きいのもできとる。収穫の秋なんです。ゴボウと土の香りが広がった。 その日は、ライブもあったので(畑チームでアコースティックバンドをやっている)午前中は畑をして、午後からは会場に向かうことになっていた。 この日、畑には総勢7名が集まった。母と一緒に料理をつくるチームと、畑をするチームに分かれる。私は、畑で小松菜や水菜の植え替えを続ける。虫に食われて葉っぱものもなかなかうまく育たない。もともと田んぼだったので、土の改良が必要で、地道に行ってはいるけれどなかなか広いからなあ。