コンタクトレンズの人は「アカントアメーバ角膜炎」に要注意! 正しく使わないと失明も
今や日本人の10人に1人が使用している「コンタクトレンズ(CL)」。見た目の印象の変化や、運動中に邪魔にならないといった物理的なメリットから、年明け早々〝脱メガネ〟を計画している人もいるのではないか。ただ、誤ったCLの使用は、思わぬ感染症を引き起こして視力を失う危険がある。目の健康を守るためにも、正しい知識を持っておきたい。松田眼科医院院長の松田英伸氏に聞いた。 【真菌性眼内炎】目の中にカビが侵入して発症 カテーテル留置の合併症も 「CLに関連して起こる目の感染症で気を付けたいのが『アカントアメーバ角膜炎』です。これはアカントアメーバと呼ばれる微生物に感染して生じる角膜感染症で、感染症の中でも重症化するため注意が必要です」 アカントアメーバは、主に川や池、沼、水道水などに生息している。健康な眼の状態であれば感染することは非常に稀だ。ところが、ソフトコンタクトレンズ(SCL)を水道水で洗うと、アメーバが付着して汚染されやすく、さらにそれをドライアイなどによって傷ついた角膜の上に装着すると、小さな傷口から感染を起こす。 初期では充血やかすみ、ゴロゴロとした異物感から始まり、徐々に進行するにつれ痛みが強くなり、角膜の混濁が起こり視力が低下する。 「現段階では保険診療で処方できるアカントアメーバに対する特効薬はありません。治療は抗真菌薬や消毒の点眼薬が第一に選択されますが、アカントアメーバ角膜炎が疑われる患者さんに対しては病巣部の表面を削る角膜病巣掻爬でアメーバを除去し、そこに直接、消毒薬を点眼する治療を何度も繰り返す必要があります。根治するためには数カ月かかるケースも珍しくなく、非常に根気が求められる治療とも言えるでしょう」 また、治療で感染症が治まったとしても、後遺症として角膜が白く濁る混濁や、視力障害が残りやすい。重篤化するとほとんど見えない状態になり、その場合には将来的な角膜移植が検討される場合もある。 アカントアメーバ角膜症を防ぐには、何よりもCLのケアが欠かせない。CLに触れる際は必ず手指を洗い、1日使い捨てタイプ以外のものは水道水での洗浄は避け、専用のケア用品を用いて毎日必ずこすり洗いを行う。指定された使用期間以上の利用はせず、レンズケースは3カ月に1回は交換する。 「長時間利用は目を乾燥させて負担がかかりやすい。1日の装用時間はできるだけ短くし、うっかり装着したまま就寝しないよう注意してください。最近コンタクトデビューされた方であれば、角膜に異常がないかチェックするためにも1~3カ月以内に眼科を受診してください」