杉良太郎が中学生と質疑応答 福祉活動で投じた私財30億円に「なぜ自分で使わないのか」と聞かれ、活動の原点に言及
歌手で俳優、杉良太郎(80)が19日、茨城県茨城町立青葉中学校で講演会を開催。今年は芸能活動60年、福祉活動65年を迎え、全校生徒248人にその教訓を生かしてエールを送った。 【写真15枚】杉良太郎、『芸能生活60年・福祉活動65年 感謝の宴』で伍代夏子と夫婦デュエット 芸能界では人気時代劇「遠山の金さん」などで人気を博す一方、15歳のときの刑務所慰問から始まった福祉活動では、災害の被災地支援やベトナムなどで国際貢献活動を展開。「これまで30億円ぐらいの私財を使ってきた」と打ち明けた。 生徒との質疑応答では「30億円を自分のために使わないのか」と聞かれ「いろいろ欲しがるときりがないし、実家が貧乏だったので、もし、おいしいものがあれば(平等に)みんなに食べてほしいと思う。ちょっと特殊な考えかも知れませんが…」と福祉活動の原点に言及した。 「緊張しないようにするには」との問いには「人にこびて姑息な考えがあるから緊張する。堂々と生きてほしいし、本当に怖いのは他人ではなく自分の心」と強調。「勉強のやる気が出る言葉が欲しい」の要望には「やる気は人に言われて出るものではない。しっかりしろ!」とユーモラスに奮起を促すと「どお? やる気出た?」と笑顔で確認し、「曲げられない信念は何ですか?」には「約束は守る。約束したことができないのは絶対嫌なので、常に約束できるかどうか考えている」と明かした。 一方、自身は20歳のデビュー前、カレーライス店で約2年住み込みで働き、まかないも3食カレーという生活を経験。当時について「将来に対して不安になると、友達もいないし、朝まで泣いたときもある。弾けないギターを弾いて泣きながら『芸能界で日本一になるぞ!』と自分に言い聞かせるように叫んだこともある。あの時、気持ちをため込んでいたらダメになっていたかも」と振り返った。 生徒には「今、自分が生きてみて、不安や嫌なこともあると思いますが、世界からみたら日本は幸せ」と強調。過去にユネスコ特使、外務省の日本ベトナム特別大使などを務めた豊富な国際経験から「トイレのないところも世界にはある。川に入ってするところもあるのに、日本は水洗でどれだけ恵まれた環境か…」と真剣な表情で呼びかけた。 この日は警察庁特別防犯対策監、厚労省特別健康対策監の活動で訪問。特殊詐欺撲滅の啓発活動に尽力しており、闇バイトについては「バイトではなく犯罪者募集。お金は楽して稼げない。お金は一生懸命働いて稼ぐからこそ、人生に活きてくる」と力を込めた。講演会前には茨城町役場で小林宣夫町長らと懇談した。