「我慢して一歩踏めたら、たぶん届いた」横浜FCのGK市川暉記は一切の妥協を許さず。イレギュラーな失点も「止めてあげないと。もっとこだわるべき」
最悪を想定。「良い意味で、ディフェンスを信じ切らない」
30節を終えて総失点18? リーグ最少の数字? 際立つデータにも満足しない男がいる。J2で首位に立つ横浜FCでここまで唯一、全試合フルタイム出場しているGK市川暉記だ。 【画像】サポーターが創り出す圧巻の光景で選手を後押し!Jリーグコレオグラフィー特集! 「僕的には、もうちょっと失点を減らせるなっていうシーンは全然あります」 たとえば、直近の30節・愛媛戦(4-1)で20分に奪われた先制点だ。 右サイドからの前野貴徳のアーリークロスに反応した谷本駿介に、ボックス内右で折り返され、ファーから走り込んだパク・ゴヌに押し込まれた。 パク・ゴヌには味方の村田透馬がしっかりと身体を寄せていたが、もつれ合いながらもパク・ゴヌが伸ばした左足に当たったボールがゴールに吸い込まれる。市川の懸命なセービングも及ばなかった。 至近距離で放たれた難しいシュートだった。ボールの軌道も読みにくい。GKにとってはある意味“ノーチャンス”と言えるかもしれない。だが、市川は「イレギュラーな形でしたけど」としながらも、「あれをやっぱり止めてあげないと。もっとこだわるべきだと、ずっと思っています」という。 「予想外のタイミングで来て、身体がひとつ浮いたんです。そこを浮かせないで、そのままずっと我慢した状態で一歩踏めていたら、たぶん届いたのかな、と。下から浮いた時間を、そのまま横の移動に使えば、届いていたんだろうなっていうのはありますね。あれを止めるとしたら、それかなという感じです」 どうやって止めればよかったか。一つひとつの失点を微細に振り返り、可能性を模索して、改善していく。地道な作業の繰り返しだ。そのうえで、市川は常に「最悪を想定」しているという。 「どこまで最悪を考えるか。良い意味で、ディフェンスを信じ切らないというか。もちろん、信用はしていますけど、対応しているからそれで安心するのではなくて、何かあるかもしれないと」 また愛媛戦では、少なくとも2つのビッグセーブがあった。39分、味方のパスミスから窪田稜に決定的なシュートを打たれるが、横っ飛びで弾き出す。「相手の足がもつれていて、ファーに強いのはこない。正面付近に立っていれば届く」と準備していた。 68分にはパク・ゴヌと1対1になったが、鋭いシュートを右足で止めた。「まずニアを消して、前に寄せられたのでシュートコース的に足を開けば届くと思った」という。 ゴール前の攻防。ほんのわずかな時間であらゆる情報を集め、瞬時に最適解を弾き出して実行に移す。横浜FCの最後尾で絶大な存在感を示す25歳守護神が、リーグ随一の堅守を支えている。 取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)
【関連記事】
- 16戦無敗でJ2首位に立つ横浜FC。止まらぬ躍進のなかで四方田監督の心持ち「いつもこんなにうまくいかないと思いながら...」
- 前半のみでベンチに下がる。無念の途中交代も小川慶治朗は自分のストロングを再確認「試行錯誤しながらやっていかないといけない」【横浜FC】
- 横浜FC対長崎戦で一触即発の場面、中村俊輔コーチの振る舞いに思うこと。珍しく感情をあらわにした理由とは?【コラム】
- 現代サッカーをどう思うか――小野伸二の質問に中村俊輔の答は?「ファンタジスタ的な考え、10番的なスタイルの人からすると...」
- 「可愛さの破壊力すげぇ」「セクシー」なでしこ岩渕真奈が眩いビキニ姿を披露! 熊谷紗希とバカンスを楽しむ様子が反響