脳科学者が語る「誰もが“老害”になる」悲しき必然 自分もすでに「老害脳」化が始まっているかもしれない
一見流行語、新造語のようにも思えますが、新聞記事などをさかのぼって調べてみると、少なくとも80年代には「老害」という言葉が全国紙に登場していたそうです。ということは、日本社会ですでに40年以上生き残っている単語であり、また現象だと考えられます。 では、「老い」の「害」と書く「老害」とは、具体的に何歳頃からそう呼ばれるのでしょうか? 「老害」という言葉はメディアやSNSでよく見かけますが、実際には、年齢に関する明確な定義は存在しません。当たり前ですが、これは政府や公的機関が定めたものではないからです。
したがって、「老害」とは特定の年齢を過ぎると起こるというものではありません。たとえば大学サークルのOBやOGが現役生に口出しをするような場合、その人たちが20代であっても、相手が迷惑だと感じるならば、それは「老害」行為と見なされるでしょう。 とはいえ、一般的には日本の企業において管理職や役員となる50~60代、さらに上の一般的に「高齢者」と呼ばれる年齢層に対して使われるケースが多いのではないでしょうか。
要するに、年上の人が自分の立場を利用して、若い人の活動の自由を妨げる行為を「老害行為」と称し、そのような行為をする人を「老害」と呼ぶのです。 ■組織や社会にまで影響を及ぼす「老害」 そして、「老害」は決して個人間だけでの問題ではないと言えます。実は組織や社会全体にも大きな影響を及ぼすのです。 たとえば、職場における「老害」は、年下の社員の意欲を削ぎ、組織全体の活力を失わせる原因となります。 上司からの一方的な叱責や批判が続くと、部下は萎縮し、のびのびと働いたり、意見を言ったりすることが難しくなり、自由な発想や、新しいアイデアは生まれにくくなります。結果として、組織は停滞し、競争力を失う危険性が高まります。
また、「老害」がまん延している組織では、たとえ内部で悪事が行われていても、誰にも問題視されずに見過ごされてしまうことがあります。長年の慣習や暗黙のルールが優先され、内部での指摘が困難な環境では、外部からの報道で初めて問題が明るみに出ることも少なくありません。 古い体質の企業では、経営陣が問題を隠蔽し続け、最終的に大規模なスキャンダルに発展するケースもあります。不正や偽装、賄賂など、挙げ出したらキリがありません。