どこまでも広がる草原と馬とバター茶と 内モンゴル自治区のモンゴル族
2011年、内モンゴル自治区を訪れたとき、好景気に沸く都市部と違い、田舎に住むモンゴル族たちはどんな生活をしてしているのかが気になった。フフホト市からバスで東に150キロほどのバインチャガンを訪ねた。漢民族よりもモンゴル族の多い地域だ。 街を出て1時間ほどすると草原がチラホラ見えてくる。石炭などの鉱石を積んだトラック渋滞の排ガスで薄汚れた空気が充満した高速道路をゆっくりと走る。バインチャガンから小さめの乗用車に乗り換えて、さらに草原を眺めながら走り続けると、今度はトラックの通れない細い道を走る。この辺りまでやって来ると放牧されている羊たちと、どこまでも広がる草原を目にすることができる。
ドライバーはさらに草原の中を道とはわからない道をひた走る。すると、本物の草原の中にあるモンゴル族たちの集落に到着した。 頑丈な塗り土とレンガで造られた家の中に招き入れてくれた。訪れたのは夏でひどく乾燥し、照りつける日差しが暑さを感じさせたが、家の中はひんやりとして風通しが良く快適だった。自家製の温かいバター茶を頂く。少し塩分が多めだが、これが暑さで疲れきった体に染みわたる。どの家にも極寒の冬の内モンゴルを過ごすには欠かせないオンドル(床下暖房)があった。 そして壁には、チンギス・ハーンやチベット仏教のダライ・ラマなどの肖像画が飾られている。またどの家にもよく馬の画が飾られているが、「これこそモンゴル族の精神世界の象徴なのだ」とガイドは教えてくれた。 中国 内モンゴル自治区 2011年7月 ※この記事は「【フォトジャーナル】中国・第三の火薬庫 内モンゴル自治区 村田次郎」の一部を抜粋したものです。