柏原を超えた青学の“新山の神”は登り坂が苦手だった
レース前、「ワクワク大作戦」という楽しげなキャッチフレーズをつけて、決戦に臨んだ青学大。「1区久保田和真が勢いのある走りをしてくれて、その後もよく走ってくれました。そして、最後は超人・神野大地です。本当に素晴らしい走りでした。彼の特徴はとにかく我慢できること。軽量だけど体幹もしっかりしているので風にも強い。苦しい場面でも、彼なら乗り越えてくれると思っていました。往路優勝は予定通り、5分 差はサプライズでしたね。勝っても1分くらいかなと思っていました。まさか柏原超えがあるとは……。神野は想定以上で大満足。ワクワク度が振り切れましたね」と原監督は小さなヒーローを絶賛した。 一方、ライバル校の指揮官たちは神野の爆走を予想できずにいた。「正直、あそこまで走るとは思わなかった。良くても1時間18分ぐらいかな」と駒大・大八木弘明監督が言えば、東洋大・酒井俊幸監督も「1時間16分で走るのは予想外でしたけど、そういう想定をしてこなかった時点で負けでしたね」と往路での完敗を認めるしかなかった。 「5分差はセーフティリードだと思いますが、守りに入らず、しっかり攻めていきたい。あえて不安を挙げるとすれば6区ですね。走力というよりはアクシデント。今日も路面が凍結している部分がありましたし、確実に走ってくれれば、7区には小椋(裕介)がいますし、9区にはキャプテンが控えていますし……。あ、フライングしちゃった(笑)」 補欠登録している主将の藤川拓也を9区に起用するプランを勢いで話してしまった原監督だが、復路にも好選手を揃える布陣は強力だ。5区が最長区間になり、前回までの9大会中、5区を制したチームが6回も総合優勝に輝いている。今回は2位明大と4分59秒という大差をつけており、初の総合優勝が見えてきた。青学大の過去最高は総合5位。“神”を超えた男の出現で、大手町のゴールまでワクワクは加速しそうだ。 (文責・酒井政人/スポーツライター)