ゴミ散乱、騒音…「仲良く共生、難しい」 群馬・大泉町、2割が外国人「先駆例」の現実
技能実習制度に代わって外国人を受け入れる「育成就労制度」を創設する改正技能実習適正化法などが14日成立し、外国人労働者はさらに増える見込みだ。外国人を大量に受け入れることで社会はどう変わるのか。30年超にわたって積極的に受け入れ、人口の2割を外国人が占めて「共生社会の先駆例」とされる群馬県大泉町で教訓を探った。 【写真】外国人が多く住むアパートのごみ集積所の外にはごみ袋や生ごみが放置され、悪臭を放っていた 今月初旬の夕方、大泉町のアパートから出てきた外国籍とみられる男性がごみの入った白いポリ袋を持ち、ごみ集積所の外に捨てて立ち去っていった。英語だけでなくベトナム語、インドネシア語、ネパール語でごみの分類が明示されているが、集積所周辺には生ごみが散乱している。 「迷惑にならないようルールは守ってほしい」 近くに住む60代女性は悲しそうにつぶやいた。アパートの住民は多くが外国人。住民が昼や夜に室内で窓を開けてカラオケをすることもあり、騒音も悩みの種だ。 女性は「外国人と触れ合い、文化を知るチャンスはある」と言って、こう続けた。「同じ土台には立てていない。なし崩しで『仲良く共生』といわれても難しい」 ■日系人の受け入れ急拡大 製造業が盛んな大泉町は大手電機メーカーや自動車などの工場を擁する。日系人の就労を認めた平成2年の制度改正を機に、工場労働者として日系人らの受け入れが急拡大。技能実習生などの受け入れも進んだ。 平成元年12月に623人だった在留外国人数は右肩上がりに推移し、今年4月末時点で53カ国8452人が住む。大泉町の総人口4万1491人の約2割にあたる。 町は平成7年に国際交流課(現多文化協働課)を新設し、役場に通訳を配置。医療機関に多言語の問診票を配布し、各学校に日本語学級を設けてきた。民間の支援団体なども日本語教育などに力を入れてきた。 ■月謝の未納膨らみ休校も だが、支援が息切れする事例も出てきている。 平成3年から日系ブラジル人の子らの教育に力を入れてきたブラジル人学校「日伯学園」は昨年1月に休校を余儀なくされた。月謝の未納額が膨らんだからだ。 日伯学園の高野祥子理事長は「教育熱心な外国人家庭と熱心でない家庭の差は大きい」とする。