【SNS時代の選挙】名古屋市長選で圧勝した広沢新市長を独自取材 SNSを追い風にした候補と、“デマ”の火消しに追われた候補 選挙のあり方に課題残る
演説の後に行っていたのは生配信。午後8時以降は、法律で禁止されていないSNS上で“最後のお願い”をする徹底ぶり。選挙戦をともに戦った河村前市長も一緒に、視聴者からの質問に答えていきます。 広沢氏は、ここ数年でSNSに選挙を動かす流れがでてきたといいます。 広沢一郎新市長: 「普通はやれやれと家に帰って寝るところを(生配信するので)休憩時間が減りましたね。発信の仕方が今までだと基本的に街頭だけど、街頭とネットと同じぐらいやらないと勝てない」
SNSの影響力の大きさを示したのが、11月17日に行われた兵庫県知事選です。パワハラ疑惑などが発端となり失職となるも、再び返り咲いた兵庫県の斎藤知事。勝利の要因としてあげたのがSNSでした。「今回はSNSを通じていろんな広がり、SNSのプラスの面を感じた」と話し、演説の様子などをこまめに投稿した結果、Xのフォロワーは3倍になったということです。 その一方で、選挙に敗れた稲村和美氏は、SNSに苦しめられることになりました。SNS上で稲村氏が「外国人参政権を与えようとしている」という誤った情報が拡散されたのです。選挙後の会見では「斎藤候補と争ったというより、何と向かい合っているのかなと違和感があった」と首をかしげました。
それと同じような事態は名古屋市長選でも起こっていました。広沢氏に、約13万票の差で敗れた大塚耕平氏は、選挙戦も終盤となる11月20日、ポスターを新しいデザインに変えていました。 大塚耕平氏: 「敬老パス負担金ゼロにする、拡充すると申し上げてますが、いろんなデマが飛んでますので、それに対するカウンターの意味もあります」
Xを見ると、大塚氏は当初から敬老パスの拡充を訴えていたにもかかわらず、「敬老パスの値上げ」と真逆の投稿が。さらに、「移民1000万人受け入れ」「市民税の増税」など、大塚氏が訴える政策とは異なる投稿も見られました。 その内容を否定するために動画を配信するなど、“デマ”の火消しに追われていたのです。 大塚耕平氏: 「(対応するのは)簡単じゃない。レスポンスすると、それに対していろいろなこともあるので。民主主義の危機といってもいい」
そして11月24日。落選確実となった後、完敗を認めながらも、“デマ”の影響が少なからずあったと話しました。 大塚耕平氏: 「『敬老パスなくすんじゃなかったの? 逆のことを言っている』という問いかけを何十回も受けましたので、それだけデマが浸透していた。選挙妨害に近い行為なので、今後どう対応していくか、政治全体の課題だと思います」 政策を訴える手段として有効な一方で、デマが拡散すると選挙活動が妨害されるSNS。今後の選挙のあり方に課題を残しています。