岸田首相「令和版所得倍増」に意欲 「給与の引き上げという形で実感していただく」
岸田文雄首相(自民党総裁)が11月1日、党本部で記者会見し、衆院選で自民党が単独で261議席を獲得したことを受け、新型コロナウイルス対策の全体像を今月前半までの国民に示し、大型の経済対策を今月中旬までに策定する方針を示した。総裁選で掲げた「令和版所得倍増」を実現するための議論も本格化させると述べた。 【動画】岸田首相が会見「令和版所得倍増を新しい資本主義で目指す」
コロナ対策の全体像「今月前半までに」
衆院選では自民・公明の連立与党が、17ある常任委員会の委員長ポストを独占し、全常任委員会で過半数の委員を確保できる「絶対安定多数」(261議席)を得た。岸田首相は「安定感を持ちながらも果断な政策実行に取り組んでいく」と気を引き締めた。 具体的には、政府の新型コロナ対応について「今月前半までに新型コロナ対応の全体像を国民の皆さんにお示しする」と語った。入院を必要とする感染者が確実に入院できる体制を今月末までに整備するとし、すべての自宅・宿泊療養者に対して「陽性判明当日か、遅くとも翌日には医師などの専門家から連絡を取る即応体制を構築する」とした。 「ワクチン」「検査」「飲める治療薬」というコロナ対策の流れを抜本的に強化。3回目のワクチン接種を12月から開始し、無料検査の範囲も大幅に拡大すると明らかにした。飲み薬も年内実用化を目指し、承認された薬は必要量を確保するとした。 「これまでのコロナ対応を徹底的に検証」するとも述べ、感染症危機管理の司令塔組織創設にも言及した。
大型の経済対策「今月中旬に策定」
与党と連携し、今月中旬に大型の経済対策を策定すると表明。「年内のできるだけ早期に補正予算を成立させ、国民の皆さんに一刻も早くお届けする」と語った。対策には、非正規、子育て世代など生活困窮者へのプッシュ型給付金を盛り込むほか、消費換気経向け、安心安全な形に見直した上で「Go Toトラベル」の再開も検討する。 総裁選で掲げたものの、所信表明演説からは消えていた「令和版所得倍増」も打ち出した。「成長を実現し、その果実を国民一人ひとりに給与の引き上げという形で実感していただく」と明言した。 そのために「新しい資本主義実現会議」をはじめ、「デジタル臨時行政調査会」「『デジタル田園都市国家』構想実現会議」の議論を本格化させるとした。 官民挙げて国民の給料を引き上げていくため、「賃上げ税制の抜本的強化や補助金の要件として賃上げを求めることで、企業による賃上げを強力に促していく」としたほか、看護・介護・保育従事者などの収入増に向けては、政府が主導的に決められる公的価格の評価検討委員会を来週にも設置し、あり方を見直すとした。 「選挙戦という戦いが終わり、これから政権を待ち受けているのは政策実現のための戦い。成長のための改革に大胆に取り組むとともに分配のための新たな仕組みを作り動かしていく」と決意を述べた。
憲法改正「与野党の枠を超え議論深める」
憲法改正についても自ら触れ、「党是である憲法改正について精力的に取り組んでいく。与野党の枠を超え、憲法改正の発議に必要な国会での3分の2以上の賛成を得られるように議論を深めていく」と語った。