変わったのは我々ではなく世界――『進撃の巨人』主題歌で、海外で再生された日本のアーティスト5位、Linked Horizonが見た変化 #なぜ話題
アニメも音楽も国境を超える流れにLinked Horizon もAdoもYOASOBIもいる
世界的に注目を集めることになった日本のアニメとアニソンだが、10年前と現在で何が違うのだろうか。 「アニメの作り方や我々が作る音楽が変わったというより、世界のほうが変わったのだと思います。わかりやすいところで言えばネットフリックスのような存在のお陰で、アニメがサブカルチャーからグッとメインカルチャーに接近したように感じていて。3年ほど前に『鬼滅の刃』の世界的なヒットが話題になりましたけど、この10年の間にアニメを見る環境や土壌みたいなものが、世界的に整っていったんだろうなって。音楽もSpotifyのようにサブスクで聴く時代になったことで、簡単に国境を超えて届けられるようになりました。その流れの中に『進撃の巨人』も『鬼滅の刃』も、『ワンピース・フィルム・レッド』のAdoさんも、YOASOBIの『アイドル』(『【推しの子】』のOP主題歌)もあるんじゃないかな」 『進撃の巨人』への海外の反響は、その作品の内容もあったのではないかと分析する。 「『進撃の巨人』は戦争や闘争をテーマにした非常にシリアスなストーリーで、その内容は日本より、海外の人々のほうがシンパシーを感じた部分はあったのかもしれません。さらにSNSによって情報をやり取りしたり、解釈を共有したりすることで、日本のアニメを中心とした文化交流も生まれている。そこにはまだ言語の壁はあるかもしれませんが、それもAI翻訳の進化や普及などで近いうちにもっとタイムラグをなくしてくれそうですよね。やはりアニメ文化や音楽を取り巻く状況はかなり豊かになったのだと思います」 Revoの言うように、『進撃の巨人』Season 1がはじまった10年前と現在の違いは、日本のアニメを取り巻く状況に表れている。10年間で日本のアニメ市場規模は2倍以上になり(日本動画協会「アニメ産業レポート2022」から)、特に海外の日本アニメ市場の発展はめざましい。背景には、米国のネットフリックスやアマゾン、アニメ専門のクランチロールといった動画配信企業の台頭があり、タイムラグなく日本のアニメが世界中で見られるようになったことが大きな理由として挙げられる。 「ただ、世界に受け入れられるようになったからといって、自分たちが作るものを変えようとは思いません。今回書き下ろした配信の各話版のOPテーマ『最後の巨人』も、10年前に『進撃の巨人』と初めて向き合ったときと同じやり方で、『進撃の巨人』の最後にふさわしい音楽とは何かを模索しながら作りました。この10年の間に音楽の聴かれ方は変わったし、僕たちも音楽的には進化をしているわけですが、その最新のLinked Horizonを見せることよりも、僕たちに求められているのはLinked Horizonが再び『進撃の巨人』に帰ってきた意味を音楽で示すことだと思ったからです。『進撃の巨人』は複雑なストーリーの変遷をたどった作品ですが、最終局面になり再びエレンと調査兵団の物語へと集約されていく。そこで我々の主題歌が流れることで、初期の頃をリフレインさせながらも最終地点へと駆け抜けていくその“エモさ”を、僕たちは求められているのだろうなと」