変わったのは我々ではなく世界――『進撃の巨人』主題歌で、海外で再生された日本のアーティスト5位、Linked Horizonが見た変化 #なぜ話題
J-POPが成し遂げられなかったことをやってしまった
「最後の巨人」はこれまでLinked Horizonが手掛けてきた『進撃の巨人』の主題歌の系譜を引き継ぎながらも、これまで同作を彩ったOPテーマとEDテーマ、すべてのタイトルのモチーフが歌詞の中に織り込まれている。『進撃の巨人』に関わったすべてのアーティストやクリエーターの思いを引き連れ一気に最終話まで疾走するような仕掛けを盛り込んだのは、Revoの同作と同作のファンに対する深い愛情の表れだと言えるだろう。 そして、NHK総合にて放送された「The Final Season完結編(後編)」主題歌「二千年... 若しくは... 二万年後の君へ・・・」では、ミカサ・アッカーマン役の石川由依がボーカルとして参加し、エレン・イェーガー役の梶裕貴がコーラスを担当。過去に『進撃の巨人』関連で自らが生み出した楽曲からメロディーを引用し、ラストシーンの尺と展開、セリフ、カット割りなどが楽曲と美しく融合するように、すべてが計算され生み出されていた。 「この曲をもし10年前、『紅蓮の弓矢』(Season 1前期OPテーマ)の代わりに発表していたら、今のような評価はされていなかったでしょうね。曲の形態が違いすぎるので、意味のないたらればでしょうけど。先程の手のひら返しの範疇では受け止め切れなかった曲になっていたと思います。もちろん自分としては良い曲だと思っていますが、ポップミュージックとしてはかなり異質だと思いますし、とがりすぎているとも思いますから。まるでミュージカルのような、劇中歌のような主題歌なのですが、ただ『進撃の巨人』を最後まで見届けた多くのみなさんにとっては特別な意味を持つ曲になったはずです。僕はこのスタイルを普段から“物語音楽”と自称しているのですが、こういう作品やシーン、物語に寄り添うことに全フリした音楽が世界的にも好意的に評価されること自体すごいことだと思いますし、楽曲に込められた意味を受け身ではなく考察しようとする姿勢に僕としては胸が熱くなりました。日本のアニメ文化や、生み出しているクリエーターたちに対するリスペクトがないと起きない現象だと思います。『進撃の巨人』に限った話ではなく、きっと日本のアニメ業界のみんなが『心臓を捧げて』戦ってきた結果なのでしょう。これはJ-POPというカテゴリーにはくくれない豊かな文化だと思いますし、その点においてはJ-POPが長年成し遂げられなかったことを成し遂げてしまっているとも言えると思います」