無名の量子関連ETFへの資金流入急増-グーグルが飛躍的進歩を発表
(ブルームバーグ): 上場投資信託(ETF)「ディファイアンス・クオンタムETF」は6年の歴史の大半において、他の期待薄のハイテクファンドと同じような状況だった。平凡なリターンと投資家の関心の低さから、ETF市場に点在する投資の負け組から抜け出せずにいた。
しかし、今月上旬にアルファベット傘下グーグルが量子コンピューティングの飛躍的進歩を発表すると、状況は一変した。同ETF(銘柄コード QTUM)への資金流入は、かつてないほど急増している。
量子コンピューティング関連株に連動するQTUMには、12月に入り約2億5000万ドル(約390億円)が流入。2018年の設定以来、月間ベースで最大の資金流入を記録する勢いであることが、ブルームバーグ集計のデータで明らかになった。同ETFは今月に入り17%上昇。設定から昨年末までは1億6400万ドルの資金純流入だった。
グーグルが新たな量子チップ「ウィロー」を利用して量子コンピューティングで大きな成果を遂げたとのニュースを受け、資金流入は増加し始めた。グーグルによると、同社の量子コンピューターは、スーパーコンピューターならおよそ10の25乗年かかる計算をわずか5分で完了することができる。
この発表を受けてアルファベットの株価は上昇し、量子コンピューティングに関連する他の銘柄もここ数日に値上がりしている。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアタナシオス・プサロファギス氏は、「量子は昨年の人工知能(AI)と同じ瞬間を迎えている。量子関連株の多くはETFの間で広く保有されているわけではないため、QTUMは間違いなく唯一の専門ETFだ」と指摘した。
QTUMはD-ウェーブ・クオンタム、リゲッティ・コンピューティング、イオンキューのほか、アルファベットやエヌビディアなどの銘柄で構成される指数に連動する。
D-ウェーブは11年に初めて量子コンピューターを販売したカナダの企業で、株価は年初来で800%超値上がり。一方、リゲッティ株は1000%余り上昇している。