「GMARCH」が中位層に? 少子化と大学進学率の上昇で『ブランド大学』の位置づけはどう変化するのか
2040年代にはGMARCHが平均レベルに?
以下に述べるのは2040年代を考察した、仮定の話です。2023年度の大学進学率は過去最高の57.7%でした。仮に2041年度の大学進学率が文部科学省の推計どおり59.7%で、上記大学群が入学者数を減らさなかった場合は、以下のような試算となります。 2023年度の大学入学者は、35%を国公立大+「早慶上理」+「GMARCH・南山・関関同立・西南学院」が占めていました。それが2041年度は、国公立大+「早慶上理」のみで33%近くを占める予想です。「GMARCH・南山・関関同立・西南学院」を含めた累積構成比は46%となり、2023年度の国公立大+「早慶上理」+「GMARCH・南山・関関同立・西南学院」+「成成明学獨國武」+「日東駒専・産近甲龍」の累積構成比を上回ります。これは、2041年度まで各大学が募集定員を減らさなかった場合の試算です。 この試算が何を示すのかというと、2040年代には、今でいうGMARCHや関関同立といった大学群の学生は珍しくない時代が来るということです。いわゆる「ブランド大学」の位置づけが大きく変化することになります。 2023年度の一般入試で、「日東駒専」の全校で倍率(志願者数÷合格者数)が3倍を切りました。2023年度は「GMARCH」6大学とも3.5倍以上でしたが、全大学の入学者の約半数が「GMARCH」「関関同立」以上となる時代には「GMARCH」でも3倍を切る大学が出てくるかもしれません。また、その際には「日東駒専」や「産近甲龍」といった大学群は、現在よりも入学しやすい大学になっているでしょう。
少子化の中でも募集定員を減らさない大学や、増やす大学も
少子化が進み、各大学が大学入学者数を絞り込むのではないかと考える方もいらっしゃるかもしれません。1998年から2023年にかけて、高等学校等の卒業見込み者は少子化の影響で67%にまで減少しましたが、国公立大学の入学定員は105%とむしろ増加しています。2024年度入試でも対前年比高等学校卒業者数は96%にもかかわらず、国公立大学の募集人員は101%と増やしているのです。 また、以前のコラムで紹介した「大学・高専機能強化支援事業」では、上表に挙げた私立大学だけでも合計1,274人の入学定員の純増を計画しています。特に関西大学は、ビジネスデータサイエンス学部ビジネスデータサイエンス学科とシステム理工学部グリーンエレクトロニクス工学科の新設で410名の純増です。早稲田大学のように学生数を減らす動きを見せる大学がある一方で、さらに学生数を増やす意向の大学もあるのです。 大規模・中規模大学は多数の施設や教職員を保有しており、教育や研究の質を維持するための費用が大きいのが一般的です。減らした在籍者の授業料・施設費等に転嫁(値上げ)することはできないでしょう。私立大学の収入の77%は学生生徒の納付金によって得られています。そうすると、急速に入学定員を減らすことは難しいと思われます。 リクルート進学総研が2023年夏に大学・短大の理事長に実施した、大学の規模について今後の方向性を尋ねた結果調査では、11%が規模を拡大、58%が現状維持。縮小は31%という回答でした。 つまり、少子化が明らかな近い将来においても全大学が大学規模を縮小するのではなく、縮小・消滅する大学がある一方で、拡大していく大学も出てくるということになります。拡大するのは、大規模かつ入学志望者が現状でも多い(入学したい受験生が多い)大学が中心になってくるのではないかと、個人的には考えています。