「誕生日をこんな風に祝ってもらったことはなかった」若者はなぜ〝九州のトー横〟に集うのか 夜の街で支援活動に同行して分かった「居場所」の大切さ
彼らが抱える生きづらさの要因は何か。大西准教授は、虐待やネグレクト、親との別離など、トラウマ(心的外傷)をもたらすような「逆境的小児期体験(ACE=Adverse Childhood Experience)」との関連に注目する。子ども時代のこうした経験は、成人期の心身の健康や、経済状況などに影響を及ぼすという研究結果が海外で報告されている。 大西准教授が関わった事例でも、適切なケアを受けられなかった子どもたちが 「耐えきれない心の痛みを可視化しようとリストカット、目を背けようとオーバードーズなど自傷行為に至っていた」。 そうした若者に必要なのは、「未来を保障していくような支援」と説明する。重要なのは、人とのつながりや治療を通して心の傷を癒やす精神的なケアに加え、住環境や職探しなど「生活基盤を整える物理的支援」。安定的な生活基盤を得ると、将来を考える余裕を持てる。「自立できるまで、精神面、生活面ともに切れ目のなく伴走していくことが必要だ」