7&iHD、「過小評価」は自らまいた種か-クシュタール買収提案で
ただ稼ぎ頭である北米事業は足元で変調しており、シナリオの説得力が低下する懸念もある。UBS証券の風早隆弘シニアアナリストによると、このコンビニ事業での不振が市場での評価を得られない要因になっているという。
セブン-イレブン・インクの1-3月(第1四半期)の営業利益(円ベース)は、前年同期比約3割減となった。物価高を受けて低所得者層の消費が鈍ったことが主な要因で、既存店の売り上げは3四半期連続でマイナスだ。同社の広報担当者によると、コスト高の中でも価格を据え置いて客足を伸ばそうとしたが、想定した結果を得られず、利益率が下がったことが要因という。
風早氏は問題は根深いとした上で、「オペレーションの改善はそう簡単なことではない」と指摘する。
7&iHDは6日の書簡で買収提案を「機会主義的」だと表現し、株価が上向かない時期を狙ったものだとの主張をにじませた。今後取り組む施策によって、「株主価値を顕在化し得ると確信している」とも述べる。
確かに時間をかければ企業価値は引き上げられるかもしれない。ただクシュタールからの買収提案によって、市場が待ってくれる猶予はあまり長くなさそうだ。
株主の1社である香港のヘッジファンド運営会社オアシス・マネジメントの設立者、セス・フィッシャー最高投資責任者(CIO)も「クシュタールは7&iに非常に真剣な案を提示した。7&iの反応に私は少々失望している」と話す。
アイザワ証券投資顧問部の三井氏は、買収される側でなく買収する側になるというような自信や行動を経営サイドに示してほしいとした上で、「買収・合併(M&A)という手法を使って成長を模索すること」もセブンが取り得る策の一つだと話す。
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Koh Yoshida, Yasutaka Tamura