【主将座談会】完山徹一×上村充哉×中村充「アスレのエンブレムを背負う以上、負けちゃいけない」それぞれが考えるキャプテン像と引き継がれる“アスレ・イズム”に迫る|Fリーグクラブ特集/立川アスレティックFC
「この2年間の悔しい思いを忘れていない」(中村)
──今シーズンのターニングポイントとなった試合はありますか? 上村 パッとは思いつかないですね。リーグが終わった時に、浦安に0‐6で負けた試合がターニングポイントだったと言えるようにしていきたいですね。 中村 それは一緒だ。あの浦安戦が変わるきっかけになればいいと思っています。 中断期間前の終わり方としては良くなかったですが、22試合あるうちの1試合。もちろん勝って終われたほうが良かったですが、中断期間に入ったことで立て直す時間があるとも捉えられます。最後に「あの試合があったから」と言えればいいと思っています。 上村 今は上位をキープしているからこそ、いい意味でチーム全体がその状態に慣れ始めて「勝たないといけないチーム」である認識が少しずつ出てきたと思います。 ただ、もう一つ上に行くためには、ここぞという試合を落としてはいけないと思うし、次はそういうフェーズに入ってくるのかなと思います。 ──比嘉さんから監督が交代しても、これまでと同じように球際の強度が高く、切り替えの速さなど、立川のプレースタイルは変わらずに維持できているように感じます。 完山 そうですね。比嘉さんは、どちらかというと「不安」から入って、それをつぶしていきたいタイプで、練習から準備万端で試合に臨んでいました。 一方でサバスは、不安なことはあるはずですが、選手たちに見せる部分と隠す部分があって、そのバランスがうまいな、と。チームにいい影響をもたらしているので、「こいつこんないいプレーもできるんだ」と思わせてくれる選手が増えたと感じます。 そのあたりが上位にいる理由かもしれないですね。あとサバスは、僕たちクラブのことをよく理解してくれて、僕らに合わせようとしてくれていると感じます。 ──実際、サバスさんはどんな人物ですか? 上村 一言では難しい(笑)。性格やキャラを含め、比嘉さんとは全然違いますね。 中村 僕は、すごく優しい人だなと感じています。 完山 あと、現実をよく見ているな、と。選手に対して一律に高い壁を設定しないで、一人ひとりに「ここを越えてほしい」という設定をするのがうまいと思う。 上村 なるほど。 完山 その壁を越えたら、短い時間でも試合で起用する。どちらが良い悪いではなく、比嘉さんは基本的に2セット回しで、そこに入れなかったら試合に絡むのは難しかった。でも、サバスはそこに絡めるように“壁”を設定して、選手をうまく起用している感じ。 ──今シーズンはキーマンとなる選手も多い印象です。 上村 僕自身もポジションを争っている立場ですし、いつ試合に出られなくなるかわからないのでえらそうなことは言えないですが、試合に出ている選手は責任もってやらないといけないですし、出場機会が短い選手も自信をもってやってほしいですね。 例えば、GKの(浅井)凱斗は中断期間前は試合に出ていないですが、すごくいい選手ですし、そういった選手がいい意味でチームをかき乱してほしいですね。 中村 自分も立場は一緒ですけど、(南雲)颯太には頑張ってほしいですね。彼は自分で得点よりもアシストするタイプで、昨シーズンも僕のゴールの半分近くをお膳立てしてもらいました。どの選手と組んでも気を遣えて、バランスが取れるのは大きいですね。 これまでのアスレにはいないタイプですし、見ていておもしろい選手だと思います。 完山 これ、おもしろくないかもしれないけど、やっぱり全員がキーマンでしょう(笑)。(岩本)大輝や(内海)礼斗、凱斗、西(滉太)、マサ(大澤将士)も。 俺が言うことじゃないけど、ピヴォの(湯浅)拓斗とマサがより点を取ってくれたらチームも助かる。なのでもう、みんな大事だと思います。 上村 たしかに、うちのチームはキーマンなんていないかも(笑)。 ──では、改めて今シーズンの目標を教えてください。 上村 もう、優勝しか見ていない。しながわ、名古屋とはまだ対戦していないですが、浦安も町田も強かったです。他のチームとも、どちらが勝ってもおかしくない試合ばかりでしたし、もっと下の順位になっていた可能性もあります。最後までわからないと思いますが、とにかく優勝を目標に自分のトレーニングもチームのこともやっています。 中村 そこは充哉と同じですね。この2年間の悔しい思いを忘れていません。2位と3位になったけど、1位ではない。みんながその悔しい思いをどれだけ残しているかも大事です。1試合1試合、目の前の試合に勝って、最終的に優勝をつかめたらいいと思います。 完山 優勝ですよね。本当にいい位置にいるから、今シーズンがチャンスだと、みんなで認識をそろえたい。古い話になりますが、僕が名古屋にいた初年度に、前田(喜史)さんが「1位と2位は全然違う」と口酸っぱく言っていました。そうやって目線をそろえて、鼓舞してくれた。だから僕もきちんと共有することが大事だと思っています。 上村 それはデカいですね。何回も何回も、名古屋がトロフィーを掲げるところを(目の前で優勝を決められて)見ているので、いい加減、自分たちがそうならないと。 完山 とにかく優勝だね、本当に。だからまずは、次のしながわと名古屋との対戦に向けて自分たちを最高の状態にもっていくことが直近の目標。今は本当にそこしか考えていない。やっぱりチームは生き物というか、目標は優勝ですが、それは今の順位が3位だから言えることでもあって。当然みんなが優勝のために毎日自分の身を削って練習しているので、それを無駄にしないようにしっかりやっていきたいです。 ──優勝して、トロフィーを上げるのは誰が……? 上村 それはもう、その場で「じゃんけん」じゃないですか(笑)。 中村 そんな決め方? 完山 3回やるってことで、花吹雪みたいなやつを3回分用意しておいてください(笑)。